2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of upward modulatory mechanisms of cerebral cortices via thalamus for its clinical application
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23H03023
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
川合 謙介 自治医科大学, 医学部, 教授 (70260924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石下 洋平 自治医科大学, 医学部, 講師 (30835632)
島崎 久仁子 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40142153)
中嶋 剛 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60625995)
國井 尚人 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80713940)
高橋 宏知 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (90361518)
大谷 啓介 自治医科大学, 医学部, 講師 (90790676)
大貫 良幸 自治医科大学, 医学部, 講師 (90835993)
井林 賢志 自治医科大学, 医学部, 講師 (90911892)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ニューロモデュレーション / 視床 / 大脳皮質 / 迷走神経刺激 / 脳深部刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病的及び生理的状態における視床を介した大脳皮質への上行性調節の作用機序解明と臨床への橋渡しを目的として、迷走神経刺激(VNS)を上行性調節のモデルとして (1)ラットVNSモデルでの大脳視床の多点同時微小電位記録、(2)ヒト経皮的耳介VNS(taVNS)でのfMRIと頭蓋内電気記録の解析を行うものである。 (1)今年度はラットVNSモデルで大脳皮質の多点微小電位計測を行い、低次-高次領域間の感覚情報処理に対するVNSの効果を検証した。移送エントロピーにより、音刺激提示時と無音時における情報流を定量化した結果、音刺激提示時においてVNSによる情報流のバランスの変化が認められた。また、視床からの上行性投射を受ける島皮質内の聴覚領域においてVNSの効果を検証したところ、聴覚野だけでなく島聴覚領域においても、VNSによるボトムアップ情報処理の強化が認められた。これらの結果は、視床を介した上行性調節機構の基礎的知見になると考えられる。 (2)今年度は自治医科大学のMRI室工事を経て、taVNS-fMRI計測に向けた計測環境を整備した。MRI環境下におけるtaVNSの安全性と効果を評価するため、健常者2名に対してtaVNS刺激前と30分間の刺激呈示時の安静時脳活動を計測した。安静時の脳領域間の同期性を調べる機能的コネクティビティ解析の結果から、前頭葉と頭頂葉を中心とした皮質領域、視床、小脳皮質の間でtaVNS呈示時に機能的コネクティビティの増加が認められた。その一方で、島皮質や小脳虫部などの限局した脳深部領域間でコネクティビティの低下が確認された。この結果はtaVNS刺激が視床-大脳皮質連関のネットワークにおいて興奮性と抑制性の両方の効果を与える可能性を示しており、VNSによるてんかん治療の評価指標となりうる脳領域間ネットワーク抽出の第一歩として期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画では(1)ラットVNSモデルにおける大脳・視床多点LFP記録の開始、電気刺激の準備、(2)ヒトにおけるtaVNS施行中のfMRI計測の開始を設定していた。 (1)は上記の通り、おおむね順調に進展している。 (2)は上記の通り、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ラットを用いて大脳視床同時微小電位記録を行い、視床-大脳間の情報伝達へのVNSの影響について移送エントロピーを用いて検証する。このアプローチにより、VNSが上行性の脳内情報処理に及ぼす効果について、その神経生理学的基盤を明らかにする。さらに、慢性的に安定した臨床効果をもたらすVNSの長期刺激がラットの生理的な脳活動にどのような影響を及ぼすかについても調査する。聴覚刺激時や自由行動下において、神経活動のオシレーションや情報流の変化を定量化し、VNS前後の変化を比較する。長期間の刺激を行うことで現れる上行性調節機構が存在することを示し、生理的機能改善や病態抑制をもたらす電気刺激の効果について考察する。 (2)taVNS-fMRI計測は新規性が高く、国内外でも限られた施設でのみ実施されており、論文を含む研究文献が不足していることから、昨年度は環境整備と安全性確保に注力した。来年度はてんかん患者に対するtaVNS-fMRI実施を目指し、現在、主治医への周知や放射線科との連携を進めている。てんかん患者群の安静時脳活動データを収集後、健常群と比較し、VNS治療反応性の評価指標の候補となりうる脳領域間の特徴を調査する予定である。また、頭蓋内に電極を留置した難治性てんかん患者を対象としたtaVNS検査も計画している。この計画ではtaVNS刺激を長時間呈示し、taVNS前後の安静時神経活動の周波数帯域パワーの増減や発作間欠期におけるてんかん性放電の増減も調査する。このようにtaVNSが及ぼす影響を調査する脳活動計測手法を拡張させることで、taVNSの効果をミクロ・マクロな視点から多角的に分析することを試みる。
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Research Products
(9 results)