2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23H03042
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大田 浩 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50391892)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 原始卵胞 / 卵原細胞 / 卵子形成 / 卵胞 / ヒト / 培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
始原生殖細胞(primordial germ cell; PGC)は、将来の精子や卵子の起源となる細胞である。申請者らは試験管内においてマウス多能性幹細胞からPGC様細胞(PGC-like cell; PGCLC)の分化誘導系を確立し、正常な産仔へ発生可能な精子や卵子を得る事に成功してる。しかしながら、ヒトを含む霊長類においては原始卵胞から卵子へと試験管内で培養すること自体が極めて難しく、研究を進める上で大きな障壁となっている。本研究課題ではヒトの卵巣組織を用いて、まず、原始卵胞から卵子へ誘導可能な培養法の確立し、さらに、より未分化な卵原細胞から卵子への培養系の確立を目指す。 24年度はまずヒト卵巣組織を用いて、培養方法、基礎培地、サイトカイン、小分子化合物等、あらゆる培養条件の検討を行った。その結果、低効率ではあるが、ヒト原始卵胞をある程度の大きさの卵母細胞まで発育させることのできる培養条件を見出している。さらに、培養により得られた卵母細胞は対応する生体の卵母細胞と同様の卵母細胞マーカーを発現していることを確認した。今後、更なる培養系の検討を行い、効率および発育の改善を試み、卵子への培養系の確立を目指す。 本研究が達成されることにより、ヒトの卵子形成機構が明らかとなるのみならず、将来的にヒトPGCLCからの卵子形成誘導、新たな不妊治療の確立など幅広い分野において重要な知識基盤を形成することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト卵巣組織を用いて培養条件の検討を行う体制が整い、ヒト原始卵胞を一定程度の大きさの卵母細胞まで培養できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きヒト卵巣組織を用いて培養系の改善を試みる。また、培養により得られた卵母細胞の性状解析についても順次行っていく。
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