2023 Fiscal Year Annual Research Report
組織再生の3要素を統合的に活用した歯周組織再生効果増強への挑戦
Project/Area Number |
23H03088
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 正博 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (10243247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60452447)
三木 康史 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10598395)
沢田 啓吾 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任研究員 (70733054)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歯周組織再生 / 幹細胞 / サイトカイン / 足場材 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ビーグル犬の脂肪組織由来幹細胞(ADSC)および歯根膜由来幹細胞(PDLSC)のシングルセル解析により歯周組織再生能に優れた細胞群を特定し、その特徴を明らかにすることで歯周組織再生効果の増強や新規治療法開発につなげることを目的にしている。 ビーグル犬由来ADSC の細胞単離法はすでに確立しているが、PDLSCを含むビーグル犬由来歯根膜由来細胞の効率的な単離法については報告がなく、本年度はまず歯根膜からの細胞単離条件を検討した。すなわち、ビーグル犬より抜去した第三第四前臼歯から歯根膜を回収するため、歯根膜組織を歯根よりメスやキュレットで回収した後に酵素処理する方法や、抜去歯をそのまま酵素処理する方法を、細胞数や生細胞率を指標に比較検討した。さらに、これまでに我々が実施したマウス歯根膜由来細胞を用いた解析結果を参考に、シングルセルRNAシークエンス解析(scRNA-seq解析)の対象とする細胞集団をFACSのFSC/SSCプロファイルから決定した。これらの検討結果より、PDLSCを含む歯根膜由来細胞の細胞懸濁液を十分に得ることができるようになり、通法に従いscRNA-seq解析を実施した。その結果、様々な細胞種がアノテーションされ、計画通りに多くの間葉系細胞を含むクラスターが得られた。間葉系細胞のなかにはPDLSCと期待される細胞集団を同定し、同集団を特徴づける遺伝子の発現を解析した結果、一部の遺伝子発現が幹細胞マーカーとして利用可能であることが示唆された。 一方で、in vivoにおける歯周組織再生効果を検討するためにビーグル犬の一壁性骨欠損モデルを構築し、細胞移植の条件やスペースメイキングを可能とする足場材の選定も進めた。また、短期間で高頻度な実験が可能となるよう、ビーグル犬に加え、マウスおよびラットの歯周組織欠損モデル、組織再生モデルの構築を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はビーグル犬由来歯根膜細胞の回収条件を決定し、scRNA-seq解析を予定どおり実施することで、幹細胞に特徴的な遺伝子発現プロファイルの同定につながった。また、in vivoにて歯周組織再生効果を検討するための複数の実験系を確立しており、次年度以降の研究の継続に際し、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は、2023年度にscRNA-seq解析にて歯根膜由来細胞から同定した幹細胞集団の特徴について解析を進める。さらに、既存の幹細胞表面マーカーを用いて幹細胞の濃縮が可能か否かの検討をすすめ、歯周組織再生に優れた細胞集団の単離方法を確立する。FGF-2等のシグナル因子や歯科用骨補填材との併用による歯周組織再生効果についてin vivoでの検討を行うことにより、本研究計画の目的である組織工学の三要素を併用した歯周組織再生効果増強につなげる。
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