2023 Fiscal Year Annual Research Report
癌骨破壊病変において新規破骨細胞形成促進因子Angiogeninが果たす役割の解明
Project/Area Number |
23H03100
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊原木 聰一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80549866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長塚 仁 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70237535)
中野 敬介 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10325095)
岡村 裕彦 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20380024)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | Angiogenin |
Outline of Annual Research Achievements |
血管新生因子Angiogenin(ANG)は癌の増殖や進行に伴う血管新生において重要な役割を担っている。しかし、癌の骨破壊におけるANGの役割は不明である。 そこでANGが破骨細胞分化に及ぼす影響について解析した。癌骨破壊病変の臨床組織サンプルのパラフィン切片を作製し、抗ANG抗体を用いて免疫染色を行った。 またマウス大腿骨から骨髄細胞を採取し、Macrophage colony-stimulating factor(M-CSF)を添加し培養した。その後、M-CSFとReceptor activator of nuclear factor-kappa B ligand(RANKL)を添加し、 数日間培養した。実験群にはさらにANGを加えた。細胞を固定後、TRAP染色キットを用いて染色し、顕微鏡下において多核でTRAP陽性の破骨細胞数を計測した。 癌骨破壊病変の臨床組織サンプルの免疫染色の結果、 癌骨破壊病変周囲の破骨細胞に強いANG発現が認められた。骨髄細胞の培養系においてANG添加群では非添加群と比較してTRAP陽性の破骨細胞数が増加していた。 以上の結果から、破骨細胞はANGを自ら発現あるいは、 癌骨破壊病変の他の細胞から放出されたANGを細胞内に取り込み、 ANGはMCS-F+RANKL処理による破骨細胞の分化を増強することを示した。ANGは癌骨破壊病変の破骨細胞の分化を促進し、骨破壊に関与する、新規破骨細胞形成促進因子である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯学部移転に伴う研究の中断期間や、移転に伴う培養施設(バイオクリーンベンチ、CO2インキュベーター)の故障に伴い、研究がやや遅れた。現在は歯学部の移転も終了し、培養施設も復旧したため、研究は順調に進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,破骨細胞前駆細胞のANG受容体の発現をshRNAで抑制し,ANGの反応性を調べる。破骨細胞前駆細胞のANG受容体の発現を抑制すると,破骨細胞形成が減少すると予想している。また各種癌細胞株(乳癌,前立腺癌,口腔癌)のANG受容体をshRNAで抑制し,ANGの反応性を調べる。各種癌細胞株のなかで,ANGおよびANG受容体発現を認めた細胞株を用いる。癌細胞のANG受容体発現を抑制すると,ANGの増殖促進作用が減弱すると予想している.血管内皮細胞も同様に調べる。
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