2023 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期閉塞性睡眠時無呼吸症:世代を超えた成長発育の破綻・変容と包摂医療への展開
Project/Area Number |
23H03111
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小野 卓史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30221857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮坂 尚幸 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70313252)
宮崎 泰成 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30396999)
相田 潤 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80463777)
細道 純 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (00420258)
森丘 千夏子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座助教 (50796191)
佐藤 憲子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70280956)
下澤 達雄 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (90231365)
前田 秀将 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (60407963)
和田 英治 東京医科大学, 医学部, 講師 (60756948)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 閉塞性睡眠時無呼吸症 / 間欠的低酸素状態 / 妊娠 / 胎児 / 出生児 / 動物モデル / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
妊婦の閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstructive Sleep Apnea; OSA)は、間欠的に繰り返される低酸素(Intermittent Hypoxia; IH)状態へ、胎児を曝し、児の発育不全のみならず、生後の発達障害や生活習慣病のリスクとなる。胎内環境は、エピジェネティク機構(ヒストン修飾やDNAメチル化)により、生涯にわたる遺伝子の変性(エピゲノム変化)をもたらすことが予測される。しかしながら、妊娠母体の睡眠呼吸障害と、出生児の中枢性の成長発育障害の機構について、国内外において解明されていない状況である。 そこで代表者らは、臨床調査として、日本人妊婦のOSAの病態および出生児への影響を調査することを目的に、所属研究機関附属病院にて分娩予定の20歳以上の妊婦を対象として、妊娠28~36週に睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行い、日本人の妊婦において、高いBMIはOSAの主要なリスクファクターであることが判明し、2023年に、これらの成果を米国睡眠医学会および日本女性栄養代謝学会にて発表した。また、現在、妊娠期の睡眠呼吸障害の出生児の成長への影響の前向き調査を継続している。さらに、採取した母体血のDNAメチル化解析を実施し、今後は、上記データと出生児の成長変化との連関を検証するため、生後1歳6か月および3歳での成長データの採択を予定している。 基礎研究としては、分担研究者の所属研究機関内に設置された「小動物用IH曝露チャンバー」内で妊娠動物において、OSA患者の呼吸状態を再現して作製した妊娠期OSAのモデル動物からの出生仔ラットにおける骨の低成長および皮質骨の低形成の機序を検証した結果、IH曝露された妊娠モデルラットからの出生仔において、下顎骨の成長遅延とともに、出生後長期にわたり、低酸素応答に関わる転写因子(HIF-1α)の発現上昇および軟骨増殖を促す転写因子(SRY-box9:SOX9)の発現減少が認められ、成果をまとめた論文が海外学術誌にて採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床調査の成果の学術発表とともに、基礎研究の発表論文の採択が行われ、現在は、妊娠期の睡眠呼吸障害と出生児の成長変化との連関を検証するため、生後1歳6か月および3歳での成長データの採得の用意をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠期の睡眠呼吸障害と出生児の成長変化との連関を検証するため、生後1歳6か月および3歳での成長データ採得を予定しており、また、母体血および臍帯血におけるエピゲノム変化との連関を検証する予定である。
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