2023 Fiscal Year Annual Research Report
造血器悪性腫瘍患者を対象とする質問促進プログラムの有効性と社会実装に関する検証
Project/Area Number |
23H03195
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 由紀 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30587382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 麻衣子 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 室長 (40450572)
諫田 淳也 京都大学, 医学研究科, 講師 (30636311)
内富 庸介 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 研究統括 (60243565)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | がん / 造血器悪性腫瘍 / コミュニケーション / 意思決定 / 質問促進プログラム / 社会実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の目標は、前年度に実施した造血器悪性腫瘍患者対象Web調査を基に、質問促進リスト(Question Prompt List: QPL)を確定し、意思決定支援プログラムの有効性を検証するための研究を開始することであった。まず、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群の患者324名の意向をもとに、造血器悪性腫瘍患者の特徴を踏まえた90項目のQPLを完成させた。次に、QPLを含む意思決定支援に関する先行研究をレビューし、研究デザインについて協議した。対象は、戸惑いを抱え、治療について情報が不足している初回治療開始予定の造血器悪性腫瘍患者(悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)とした。また、Primary Outcomeを意思決定における満足度(Patient Satisfaction Questionnaire : PSQ)に決定した。次に看護師によるQPLを用いたコーチングについて検討し、患者の情報ニーズや価値観を整理・明確化することをコーチングの目的に定め、コーチングマニュアルを作成した。マニュアル作成には、SHARE(日本のがん医療において医師が患者に重要な知らせを伝える際の効果的なコミュニケーションを実践するための態度や行動を示したもの)、その他コーチングのコミュニケーションスキルを参考にした。コーチングマニュアルでは、コミュニケーションの詳細な技術(テクニック)は扱わず、目的を達成するための看護師の姿勢や意図の共有を重視した。また、短期間でマニュアルの要点を理解し実践できるよう会話文例も含めた。マニュアル作成と並行して、共同研究施設の研究協力者と各施設の環境に合わせたリクルートの手順や基準に則ったデータ管理方法を調整した。同時に意思決定支援に精通している研究者や統計専門家とのチームビルディングをすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の目標である造血器悪性腫瘍患者対象QPLを完成させた。しかし、当初予定していた研究開始には以下の理由で至らなかった。1つ目は研究目的と研究意義に合致したPrimary Outcomeの検討に時間を要したことである。2つ目は最良のPrimary Outcomeを検討した結果、必要対象者数が大幅に増加し研究協力施設を増やす必要が生じたためである。現在、当初の3施設から5施設に変更し、候補施設に依頼、交渉中である。3つ目は施設ごとに診療体制が異なるため、リクルートのタイミングやデータ管理方法について、施設の実情に即した研究実施体制の構築を行っているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はじめには、研究実施施設拡大のための調整・交渉を継続する。そして、社会実装を視野にいれた研究計画の立案、研究実施体制の整備を行い、京都大学医学部・附属病院医の倫理委員会での一括審査の後、各研究実施施設の倫理審査を受審し承認を得る。2024年夏から秋の無作為化比較試験の開始を目指す。また、患者リクルート開始前、各施設の研究協力者の看護師に対し、コーチング介入のトレーニングを実施する予定である。研究実施(データ収集)期間は約2年間と見積もっている。また、本研究における介入は研究者と共に各施設で勤務する医師・看護師である研究協力者が行うため、実臨床に近い設定となっている。このことは社会実装につながる現場ニーズや課題を見出すことが期待できる反面、研究の質の担保や継続性が懸念される。そのため、質を維持した介入・データ収集を行うため、研究手順の簡易化・効率化や研究協力施設のモチベーションを維持するための定期連絡、ディスカッションを行い、円滑な研究遂行を目指す。
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[Presentation] Real-world outcomes of graft-versus-host disease after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation in japan: retrospective analysis of transplant registry unified management program registry.2023
Author(s)
Kanda J, Mitsuyoshi T, Sakurai M, Nishimori H, Murata M, Uchida N, Doki N, Inamoto Y, Ozawa Y, Tanaka M, Katayama Y, Eto T, Matsuoka KI, Jun G, Kurata M, Ichinohe T, Fukuda T, Teshima T, Atsuta Y, Terakura S.
Organizer
49th Annual Meeting of EBMT
Int'l Joint Research
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