2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中後疼痛の発症を予測する神経活動バイオマーカーの確立と新たな治療戦略の創出
Project/Area Number |
23H03259
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
長坂 和明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (70833812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南部 篤 生理学研究所, 研究連携センター, 特任研究員 (80180553)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 視床痛 / 脳卒中 / 慢性疼痛 / 電気生理学計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中の数日~数週間後に患者はしばしば病的な痛みを訴える。これは“脳卒中後疼痛”と呼ばれ、様々な脳領域で病態に関連する神経可塑性が報告されている。しかし、症状と可塑性の時間的な前後関係を示した研究はなく、発症を予測するバイオマーカー発見にはまだ至っていなかった。本研究の目的は、当病態のげっ歯類モデルを対象に集団レベルの神経活動を計測し、発症を予測するバイオマーカーとしての有用性を検証することで、それを確立することであった。2023年度はげっ歯類モデルの確立および神経活動計測の部位の選定を行った。脳卒中後疼痛の原因領域の一つである視床の外側基底部にコラゲナーゼ(type IV)を微量注入することで限局的な出血損傷を作成した。この動物に対し、フォンフレイフィラメントおよびアセトン試験を用いて経時的に行動学的評価を行い、異痛症および寒冷過敏症の発症をモニターした。この結果、予想に反して、損傷後比較的早期(2週程度)に両症状が出現する傾向があることを確認した。コラゲナーゼ投与後2週のモデル動物に対し、内因性シグナルを検出する広視野光学イメージングを用いて検証したところ、損傷半球の一次体性感覚野や二次運動野、島皮質において異常な活動の増大を示唆する結果を得た。一方で、損傷反対側では皮質の活動が減弱していることを見出した。このようなイメージングで得られた情報から、電気生理学的神経活動データを計測する座標を得ることができ、次年度実施に向けて準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は電気生理学的計測をワイアレスの埋め込み式多点電極にて長時間行う予定であったが、円安に伴う購入予算の問題で断念した。しかし、有線で、かつシングル電極でも安定的に計測することができることも確認できたため、計測手段を微修正することで目的に沿った研究が実施できると思われる。また、代替的に行った広視野神経活動イメージングによって、脳卒中後疼痛に関連すると思われる異常な皮質の神経信号も検出できており、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
自由行動下での神経活動計測のために、電極配置や期間など最適な条件を決めると共に、光遺伝学的手法のセットアップを始める。また、これまで得られたデータの論文化を進める。
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