2023 Fiscal Year Annual Research Report
筋・腱の形態及び質的特性の視点からの下肢スポーツ障害の発症機序解明と予防策立案
Project/Area Number |
23H03265
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 英幸 筑波大学, 体育系, 教授 (00292540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 直樹 筑波大学, 体育系, 准教授 (70292539)
有田 祐二 筑波大学, 体育系, 准教授 (70344877)
榎本 靖士 筑波大学, 体育系, 准教授 (90379058)
吹田 真士 筑波大学, 体育系, 助教 (60361325)
下山 寛之 筑波大学, 体育系, 助教 (80760652)
近藤 衣美 筑波大学, 体育系, 特別研究員(PD) (50515707)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | スポーツ障害 / 骨格筋 / アキレス腱 / スティフネス / 脛骨内側ストレス症候群 / 超音波エラストグラフィ / 血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、下腿筋やアキレス腱の形態および質的特性が脛骨内側ストレス症候群(MTSS)やアキレス腱障害の発症・程度にどのように関係するのかを明らかにすること、そして、それらの結果を基にして、両障害を予防するための基準値を策定することを目的とする。 本年度は、まず、新たに導入した超音波画像診断装置・シアウェーブエラストグラフィ(SWE)を用いた筋・腱スティフネスの測定方法を確立させ、習得するとともに、当該法を用いたスティフネス評価法の妥当性の検証を行った。対象とする筋、腱に適したプローブを明らかにし、その後の測定条件の検討により、SWEを用いて再現性高く筋、腱のスティフネスを評価することが可能であり、測定方法としてのSWEの有用性を確認することができた。 次に、MTSSに関連する筋を明らかにするために、陸上競技中長距離種目を専門とする女性の大学生競技者を対象として、MTSSの既往のある群と既往のない群に群分けし、ランニング前後にSWEを用いた腓腹筋内側頭、腓腹筋外側頭、ヒラメ筋、長母指屈筋、長腓骨筋、短腓骨筋、前脛骨筋、後脛骨筋、長趾屈筋のスティフネス測定を実施した。その結果、ランニング後に既往あり群では長趾屈筋と長母指屈筋、既往なし群では長趾屈筋のスティフネスが有意に上昇し、特に、長趾屈筋の上昇は既往あり群の方が有意に高値を示した。これらの結果は、長趾屈筋、長母指屈筋はMTSSの発症や再発に関係する可能性があること、そして、長趾屈筋はランニングに起因したMTSS発症の危険因子となり得る可能性を示している。これらの成果は、MTSSの効果的な予防策立案のために有用となる貴重な基礎的知見になると考えられる。また、アキレス腱障害とアキレス腱の形態、質的特性との関係に関する予備実験も開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに導入した測定方法としてのシアウェーブエラストグラフィの有用性を検証できたとともに、脛骨内側ストレス症候群の既往の有無が一過性の運動による筋スティフネスの変化に及ぼす影響を明らかにすることができ、予定した計画を順調に遂行できていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
確立させた方法論を活用し、これまで得られたデータを基にしながら、脛骨内側ストレス症候群と筋特性との関係に関する横断的検討をさらに進めるとともに縦断的な研究を開始する。また、2年目に計画されている、アキレス腱障害の有無による筋・腱特性の違いに関する研究を予定通り遂行する。得られた成果を、学術雑誌への論文投稿や学会等での発表を通して積極的に公表する。
|
Research Products
(2 results)