2023 Fiscal Year Annual Research Report
Neural Mechanisms Regulating Motor Learning Speed
Project/Area Number |
23H03268
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
関口 浩文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20392201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 宏 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (00415366)
宮崎 真 静岡大学, 情報学部, 教授 (30392202)
野崎 大地 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (70360683)
水口 暢章 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 助教 (80635425)
山中 健太郎 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (90359662)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 運動学習速度 / NIRS / TMS / 学習段階 |
Outline of Annual Research Achievements |
初めての運動でもすぐにできるようになるヒトの神経生理学的特徴を明らかにするために,運動レパートリーとの関連性に関して,近赤外分光法システム(NIRS)および経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて検討した。運動レパートリーを定量化できれば,新たに取り組もうとする運動・スポーツスキルの早期獲得の可能性判断や学習段階の判定に利用できると考えられる。 NIRS実験では,左腹側運動前野および左下頭頂小葉に各11ch,計22chのオプトードを設置し,各30秒で切り替わる注視点→動画①→注視点→動画②→注視点→動画②→注視点→動画①の一連の画像(4分)を観察している時の脳活動を5回記録した。動画は右手2ボールジャグリング内回しおよび書字動作とした。TMS実験では,各画像を24秒で切り替え,各画像呈示時に8秒間隔で2回刺激して,これを5回繰り返した。その後,日を替えて運動課題(右手2ボールジャグリング内回し)を150回実施した。 NIRSの結果では,前頭前野において,ジャグリング動画視聴時のオキシヘモグロビン濃度とジャグリング総キャッチ数に有意な負の相関が観察された(Tx4-Rx2:p=0.001,Tx4-Rx4:p=0.014)。学習は,認知段階,連合段階,自動化段階の3段階を経ることが提唱されており,認知段階では,前頭前野の関与が大きいことを考えると運動レパートリーを持っておらず,観察している運動の認知に多くのresourceを割いているヒトほど,前頭前野の活動が高く,逆に実際にその運動をしたことが無くても,似たような経験や観察経験によって運動レパートリーを有しているヒトほど,既に連合段階に進みつつあり,スキルの獲得が速い可能性が示唆された。TMSの結果では,ジャグリング動画視聴時の応答(MEP)が大きいヒトほど,ジャグリングの総キャッチ数が多い傾向(p=0.067)が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記NIRSおよびTMSの研究を進めると共に,更なるデータ取得を目指している。これに加え,ミエリンマップのデータ取得のため,高知工科大に2泊3日で出張し,MRI装置のパラメータ設定を研究分担者らと協議しながら,実際に数回にわたってデータ取得し,パラメータの設定を終えることができた。これによって,目的達成のためのMRIにおけるデータ取得の準備はおおむね整えることができた。次年度夏から秋にかけて,データ取得する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には順調に進んでいるため,このまま研究を推進していく予定である。具体的には,NIRSおよびTMS実験において,追加データ取得を推進し,さらにミエリンマップのデータ取得を行うことで,初めての運動でも素早く獲得できるヒトの解剖学的な特徴の抽出を図る。これらに加え,NIRSの研究では,さらに成人に比べ圧倒的に運動経験の少ない小学生のデータに関して,山梨大学附属小およびその他の協力校の教員と生徒,その保護者に対する説明等の準備を進め,再来年度のデータ取得に向け,研究活動を推進していく予定である。
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