2023 Fiscal Year Annual Research Report
離散最適化問題に対する多様な解発見のためのアルゴリズム理論基盤の構築
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23H03344
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 靖明 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (60735083)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 離散最適化 / 多様性最大化 / グラフアルゴリズム / 固定パラメータ容易性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題である離散最適化問題に対する多様な解の発見するアルゴリズムに関して,最短路問題における多様性最大化,充足可能性問題,最長共通部分文字列問題に関する多様性最大化問題に取り組み,理論的にシャープな結果を得ることができた.最短路問題に関しては,Fominらの結果 (STACS 2023)のアイデアを部分的に用いて,固定パラメータアルゴリズムを設計し,そのアルゴリズム的成果が理論的にタイトであることを示した.充足可能性問題に関しては,Schaeferが示したいくつかの「容易な」論理式のクラスに関して,その多様性最大化板の問題が「2つの遠い解」を見つける問題に限定しても難しいことを示した.最長共通部分文字列問題に関しては,小林のこれまでの研究 (AAAI 2021, AAAI 2022)で得られた成果をうまく適用することにより,厳密アルゴリズムや近似アルゴリズムを設計することに成功した.これらの成果は国内研究会にて発表を行い,さらに国際会議に投稿中である.また,それらの研究の過程において,組合せ遷移問題 (有向木の遷移問題,最長増加部分列の遷移問題),列挙問題 (マトロイド共通基の列挙問題) グラフの構造パラメータを用いたアルゴリズム (頂点インテグリティの計算,部分グラフのリスト詰め込み問題,頂点被覆の唯一化の問題) に関していくつか研究成果を得ることができたため,それらを論文にまとめ国際会議および論文誌に採択された.特に,グラフの頂点インテグリティと呼ばれるグラフパラメータを計算するアルゴリズムについては,国際会議WALCOM 2024において最優秀論文賞に選出された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマである離散最適化問題における多様な解を求めるアルゴリズムに関する理論的にシャープな結果を複数得ており,それらはすでに3編の論文として成果となっている.また,これらの研究過程で得られた結果も複数あり,それらはすでに国際会議・論文誌に採択/投稿済みであり,順調にテーマが進展していると言える.しかしながら,より応用分野に近い内容や実験的な研究については,まだ多くは取り組めていないため,これからの進展を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,アルゴリズムと計算量の観点から理論的研究を推進する.それと同時に,機械学習やデータマイニングなどの文脈で考えられている最適化問題について,それらの分野の研究者とも協力しながら,多様な解を求めるアルゴリズムの設計を目指す.これらの文脈においては,理論的な成果だけでなく,実験的な成果も特に重要視されているため,計算機実験なども積極的に進めていく.
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