2023 Fiscal Year Annual Research Report
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23H03350
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
東川 雄哉 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (20749486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 直樹 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (40145826)
照山 順一 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 准教授 (40709862)
堀山 貴史 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60314530)
Sljoka Adnan 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (60796233)
安田 修悟 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (70456797)
小林 祐貴 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 講師 (70756668)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 組合せ剛性理論 / 計算幾何 / たんぱく質構造解析 / 分子動力学シミュレーション / 形態デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の結果を得た. (1)2次元極小剛グラフを一般化した(k,l)-tightグラフについて,最小重みグラフの持つ幾何的性質について明らかにした.特に,h-Gabrielグラフとの間に成立する包含関係を明らかにすることで,最小重み(k,l)-tightグラフを構成する効率的なアルゴリズムを開発した.さらに,極小剛平面グラフについても最小重みグラフの構成問題について検討し,凸包の内部点数が0,1,2,3点の限定された場合について,初の多項式時間アルゴリズムを提案した.以上の結果について,査読付き国際会議や国際学術誌への採録に向けて現在準備を進めている. (2)たんぱく質のより正確な構造を得るために,得られている部分グラフの柔軟性を強化または減少させることが考えられる.たんぱく質の柔軟性について,従来,対応するグラフの中心性がその指標として用いられてきた.本研究では,提案した組合せ剛性理論に基づく指標が,中心性と比較してたんぱく質の柔軟性をはるかに正確に予測することを初めて示した.この結果について,国際学術誌への採録に向けて現在準備を進めている. (3)単純な直鎖型ポリマーに対して,その分子構造の骨格を球状粒子と非線形バネによって表現した粗視化分子モデル(以下,KGモデル)を用いて,せん断流動下での直鎖ポリマーの熱伝導の非等方性について分子動力学シミュレーションによって調査し,その結果を物理系の国際学術誌Physical Review Eに投稿した. (4)規則的に面を取り除いて平坦化可能な立体の作成について,斜方切頂立方八面体と正八角柱からなる空間充填立体が作成可能であることを明らかにした.研究成果について第35回折り紙の科学・数学・教育研究集会において発表し,成果に基づいて作成した模型をBridges 2023において展示発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)~(4)のいずれの成果についても,当初の計画通り成果が得られており,本研究は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)昨年度の研究を進める中で,最小重み(k,l)-tightグラフの重みについて,最小全域木や最小ハミルトン閉路など基本的なグラフの重みに対する比がどれほど大きいか,という新しい視点を得たので,その解明に向けて研究を進める.また,最小重み極小剛平面グラフの構成問題についても,インスタンスに制限のない一般的な解決に向けて研究を進める. (2)たんぱく質のより正確な構造を得るため,部分グラフにおける柔軟性を強化または減少させるアルゴリズムの開発を行う. (3)これまでの予備的研究において,化学構造式からKGモデルを構築する方法について,これまでの慣用的な方法が,組合せ剛性理論によって,理論的に妥当な方法であることがわかってきた.今年度は,より複雑な形状をもつ液晶ポリマーに対してもKGモデルを適用することが妥当であるかどうかについて検証を行うとともに,液晶ポリマーに限らず水素結合なども有する複雑な分子構造を持つ高分子材料に対して,組合せ剛性理論を用いて粗視化分子モデルを構築する研究に取組む. (4)平坦化可能な立体について,他の空間充填立体についても検討し,立体同士の接続関係の条件を明らかにする.さらに,得られた手法について,デジタルファブリケーション機材を活用して模型を作成することで,形態デザインへの有用性を示す.
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Research Products
(18 results)