2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on View Constuction for Application-oriented Graph Knowledge Base
Project/Area Number |
23H03401
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 純 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (40293394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 賢治 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (80314532)
中村 匡秀 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 教授 (30324859)
常 穹 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (50845279)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 知識ベース / グラフ / ビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、応用システムを最適化するための新鮮な知識ベースのビューの構成方法、すなわち新しい知識をいかに迅速に、かつより正確に知識ベースに挿入して高鮮度な知識ベースを構成し、また、各々の応用システムに最適な知識ベースのビューを構成するために、どのようにノイズや誤りの除去を行うのかについて明らかにすることにある。本年度は、主にComputer Science Ontology (CSO) を利用して、オントロジのトピック自動拡張方式を学術論文の推薦システムに適用した場合の影響に関する研究、知識グラフを用いた推薦システムにおける、アイテムの推薦理由を生成する際の、知識グラフのノイズ除去、さらに知識ベースを利用した高度応用について研究を行なった。 トピック自動拡張方式を取り入れたオントロジを利用する学術論文の推薦システムでは、新しい学術知識を迅速にオントロジに追加することで、より高精度の論文推薦を目指すとともに、オントロジを利用することでより多様な論文を出力する方式に取り組んだ。特に新しく論文の多様性を計測するための計算式を定義し、二つの論文間の関係を捉えることを目指した。現在多くの実験を実施し、提案方式の検証を行なっている。 知識グラフを利用した推薦アイテムの推薦理由を生成する方式については、強化学習を利用して知識グラフ中においてユーザとアイテム間の関係を表現する最適な経路を探索する手法を提案し、評価を行なった。その結果、提案方式では従来よりも精密に有用な経路を出力可能であることが分かった。同時に、本提案手法により、既存の複数のシステムよりも高い推薦精度でアイテムを出力可能であることが判明した。 知識ベースの高度応用については、例えば高齢者サポートのITシステムの高度化に知識ベースを組み込むことで、よりインテリジェントなシステムの実現するためのアプローチを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は既存の知識ベースを利用しつつ、アプリケーションやそのユーザに適した知識ベースのビュー構成法を明らかにすることである。本年度は、計算機科学分野でのオントロジを利用して、学術論文推薦の高精度化と多様化を同時に実現する手法を、グラフニューラルネットワークを利用したアプローチで試みた。しかしながら、データセットが十分に大きくないため、潜在情報をうまく学習できないことが実験の結果から間接的に判明した。この原因を追求して改良を行なう必要がある。また、オントロジのトピックの自動拡張方式を論文推薦システムに取り入れた実験を行なっているが、新しく追加されたトピックに最も適合する学術論文がデータセット中に十分に存在しないケースが多く、推薦結果の高精度化に客観的な数値データで貢献しにくいことも判明している。主観的な評価が今後必要である。本年度、対外発表できる結果が得られなかったものの、オントロジのビュー構成については順調に研究が進んでいると判断される。 一方、知識グラフを利用した推薦アイテムの推薦理由の生成に関する応用では、既存研究は主に計算量の関係によりメタパスと呼ばれるメタレベルの知識グラフ上のパスを利用した研究が多くあったものを、強化学習を導入することによりインスタンスレベルでの知識グラフ上の有用なパスを抽出できるようになった。これにより、より妥当な推薦理由の生成が可能と考えられる。現在主観評価のための準備を進めており、来年度中に具体的な成果が得られる見込みである。このことから、知識グラフのビュー構成についても、予定通りに進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度に引き続きオントロジを利用した学術論文の推薦システムの高精度化と多様な論文の推薦方式を進めていく予定である。オントロジの有効活用には、オントロジのトピックと学術論文中に出現するキーワードとのマッチングを行う必要があるが、学術論文中のキーワードには表記揺れや類似用語への置き換えが多数存在し、オントロジのトピックと正しくマッチングするのが容易ではないことが判明している。このため、学習済み言語モデルなどを利用して、マッチング問題の改善のための方策を試みる。 知識グラフを利用した推薦アイテムの説明生成については、強化学習ベースでの提案手法の評価を継続して行う。特に生成される説明の評価について被験者によるテストが必要であり、評価テストの設計ならびにクラウドソーシングを利用したテストを実施予定である。この結果を分析して提案手法のさらなる改善を行っていく予定である。 オントロジや知識グラフなどの知識ベースを利用した高度応用についても研究を進めていく予定である。例えば高齢者支援などに代表される小規模コミュニティのためのシステムを想定し、独自の知識グラフと既存の知識ベースを利用し、小規模コミュニティにおける新しい友人関係の予測、興味の推定などの実用的な事例を通して、知識ベース中のノイズや、小規模コミュニティグラフに最適な知識ベースの分析を行う。今後これらの応用分野での諸問題について知識ベースを活用した解決方法を検討していき、研究の推進につなげる予定である。
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