2023 Fiscal Year Annual Research Report
Integration of experiments and biomolecular modeling through end-to-end differentiable approaches
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23H03412
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
松永 康佑 埼玉大学, 情報メディア基盤センター, 准教授 (60464525)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 微分可能プログラミング / 誤差逆伝播法 / データ同化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はニューラルネット等の学習に成功しているエンドツーエンド微分可能なアプローチを用いて、シミュレーションモデルの力場パラメータを実験計測データから自動的に補正する次世代分子モデリング手法を開発する。そのために、(1)ポテンシャルエネルギーを力場パラメータで 微分可能にし誤差逆伝播が適用できるコードを開発し、(2)MBARなどの平均推定量を微分可能にしアンサンブル計測データをロス関数で扱える ようにする。(3)更にTRAMなどのキネティクス推定量を微分可能にし時間計測データをロス関数で扱えるようにする。開発したコードを用いて 計測データからパラメータを学習し重要な相互作用に関する知見を得る。今年度は(1)力場パラメータで微分可能なポテンシャルエネルギー関数コードを開発しテスト系で検証した。まず、1次元のLennard-Jones系で、自由エネルギー差や原子間距離の平均値情報からパラメータσやεを学習できるかを検証したところ、精度よく正解のパラメータを学習できることがわかった。検証のための開発を行っている最中に、パラメータ学習においては、仮想的に変更されたσやεの値における自由エネルギー値や物理量の平均値を外挿して求めると便利なことがわかり、それらを求めるためにMBAR法を導入しポテンシャルエネルギーで微分可能にすることで対応した(MBARを微分可能にして導入することは2年目の予定であったので結果として進捗が早まった)。また真空条件のAlanine-dipeptideでも検証を行い、原子間距離の平均情報から二面角ポテンシャルパラメータが学習できるかを調べた。この場合、訓練データである原子間距離と密接に関連する二面角の学習は精度良く行えるが、関連の低い二面角の学習は限界があることがわかり、現在その関係性をまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は、(1)ポテンシャルエネルギーを力場パラメータで微分可能にし誤差逆伝播が適用できるコードを開発することであり、順調に開発することができた。一部静電相互作用がまだ実装できていないが、その代わりに次年度開発予定であったポテンシャルエネルギーで微分可能なMBARコードを開発できており、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の研究計画通りであるが、今後は力場パラメータで微分可能なポテンシャルエネルギーのうち、未実装の静電相互作用を実装するとともに、テスト系での検証例を増やし実際の実験データへ応用する。また、最終年度に開発予定であった、時系列データから学習するための微分可能なtransition-based reweighting analysis method (TRAM)コードの実装準備にもとりかかる。
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