2023 Fiscal Year Annual Research Report
High-speed 3D Image Measurement System Toward Next Generation Endoscopy
Project/Area Number |
23H03417
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末石 智大 東京大学, 情報基盤センター, 特任講師 (80807842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古村 眞 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10422289)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高速画像処理 / 構造化照明 / 三次元計測 / 光学系制御 / 高速トラッキング / 内視鏡検査 / 気管軟化症 / 医工連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,工業用配管や人体の気管など,機器の物理的制約から内視鏡など計測手段に制限のある条件下に着目した,定量的な内視鏡検査としての構造化照明法を用いた高速三次元計測技術の確立と,工学・医学的な応用展開への昇華である.高速センシング技術としての光学系・照明系制御技術や高速画像処理アルゴリズムの開発などだけでなく,実際の内視鏡検査の応用シーンを想定した必要な課題抽出や技術開発を進めるものである. 本年度の進展の一つ目は,高速三次元計測の性能を向上させるために必要な工学的アプローチの洗練である.高速光線制御技術を確立させるために,様々な径の光ファイバや複数の自由度の精密ステージなどを調達し,光学素子の精密なアライメント手法について模索を進めている.また,ピンホールカメラモデルに基づく内視鏡カメラにおけるカメラキャリブレーション手法の簡便な手法や,管内での内視鏡観察位置を特定するための光学的マーカー式高速トラッキング技術としてのマーカーの省スペース化の方法も検討および開発を進めている. 本年度のもう一つの進展は,実験計画書について承認を得た家兎による動物実験に基く,医学的な応用展開を意図した課題抽出である.気管軟化症という小児にみられる気管の疾患を定量的に診断するには,気管内壁の時空間的な定量的データが必要となる.しかし,気管内壁の動きに心臓の拍動のダイナミクスが混入していることが知られており,家兎における実験的内視鏡画像でも確認することができた.この心臓由来ダイナミクスは,気管軟化症定量的診断を妨げる要因になり得るため,この心臓由来ダイナミクスを時空間的に定量化するシステムの開発も進めている.実際に,心拍や呼吸,血圧を計測できるポリグラフシステムを調達し,産業用高速カメラと同期した計測システムの構築を進めつつ実験的な性能評価等を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
工学的側面としては,通常の産業用カメラとは異なる特性をもつ,内視鏡カメラの取り扱いが進んでいる.すなわち,ピンホールカメラモデルによるカメラ校正や,内視鏡プローブ自体の外部カメラによるトラッキング手法など,全体システムの構築や性能評価に欠かせない要素技術の開発が進んでいる.また,三次元形状計測技術に寄与する高速光線制御系についても,複数の光学素子の候補や精密アライメント手法の模索が順調に進んでいる. 医学的側面としては,心臓起因の気管内壁のダイナミクスが存在することを,実際の動物において確認できたことは重要な進展である.文献調査により,脈波や心原性振動と呼ばれる事象に近いものであると判明しているが,実際の気管内壁に関して扱っている例は発見できていないことから,この心臓起因の気管内壁ダイナミクスが何らかの定量化まで到達できれば,意味のある進展になると考えられる.また,ポリグラフシステムにより生体情報と高速カメラ映像を同期して記録できるようなシステム構築も進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
工学的アプローチについては,精密アライメントを含む光学系・照明系の構築を完了させ,構造化照明法による高速三次元形状計測のアルゴリズム開発に進む予定である.その際に,高速画像処理アルゴリズムの開発も肝要となるが,被写体の形状や光反射特性における課題抽出も進める. 医学的アプローチについては,工学側面に詳しい代表者が,医学側面に詳しい分担者と密に連携して,引き続き動物実験に基づく課題抽出と計測技術の性能評価を進める.特に,分担者の専門である気管軟化症の診断を一つの応用展開と位置づけ,医工連携における生体周りの課題抽出も進める. また,工学・医学の両面のアプローチに関して,実験動物だけでなく気管などを模倣するような人工的な模型も製作し,提案・開発する新たな計測システムに関する十分な計測性能評価も実施する予定である.
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