2023 Fiscal Year Annual Research Report
歯骨伝導で音の到来方向は知覚可能か? 次世代型歯骨伝導補聴器のための基礎的検討
Project/Area Number |
23H03435
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
杉田 泰則 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30401780)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越田 俊介 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70431533)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 骨伝導 / 歯 / クロストーク / 知覚特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯に振動を与えることで音を知覚する「歯骨伝導デバイス」は、次世代の補聴器としても期待されている。補聴器への応用を考えた場合、周囲の音の空間的情報(音の到来方向や距離感など)をユーザーが知覚できることが安全性の観点からも望ましい。既存の歯骨伝導ではない皮膚装着型の骨伝導補聴器の中には、バイノーラル音(両耳の外耳道入り口付近に設置されたマイクで集音した音)を利用することで、ユーザーに音の到来方向を知覚可能にしているものもある。しかし、歯骨伝導では音の空間的情報(音の到来方向や距離感など)を知覚するのは現状では非常に困難である。歯骨伝導で音の到来方向の知覚が困難な理由として、①振動の加振位置が明らかにバイノーラル音の利用に適していないこと、②クロストーク成分が大きいこと、などが考えられる。そのため、本申請研究では、シミュレーション及び被験者実験を通して、これらの影響を調査・明らかにする。 令和5年度は、歯骨伝導デバイスの試作、クロストーク除去用フィルタの開発を行うとともに、振動の頭内伝搬シミュレータの開発に着手した。歯骨伝導デバイスの試作・評価では、圧電振動子を用いた小型のデバイスをいくつか試作し、検知限特性評価など、被験者による基本的な特性評価を行った。クロストーク除去用フィルタの開発では、アクティブノイズコントロールの原理を利用したフィルタとトランスオーラルシステムの原理を利用した手法を検討し、それぞれの手法の利点・欠点を調査・整理した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度の主な課題は、歯骨伝導デバイスの試作・評価、クロストーク除去用フィルタの開発,及び振動の頭内伝搬シミュレータの開発であった。歯骨伝導デバイスの試作・評価では、圧電振動子を用いた小型のデバイスをいくつか試作した。クロストーク除去用フィルタの開発では、アクティブノイズコントロールの原理を利用したフィルタとトランスオーラルシステムの原理を利用した手法を検討し、それぞれの手法による除去性能や利点・欠点をシミュレーションにより調査・整理した。試作した歯骨伝導デバイスの物理特性評価のための環境整備が当初の予定よりも遅れたため、当初の研究計画と照らし合わせるとやや遅れており、試作した各歯骨伝導デバイスの詳細な評価や予定していた研究会や学会発表が行えていない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
デバイスの評価環境については既に整っており、今後は計画的にデバイスの試作・評価を行う。また、令和5年度に検討したクロストーク除去用フィルタを用いて被験者による定位実験を実施し、クロストーク成分が音の空間的情報の知覚に与える影響を調査・検証する予定である。
|