2023 Fiscal Year Annual Research Report
筋電位信号に対するもつれ解き表現学習法の提案とロバストな操作インタフェースの実現
Project/Area Number |
23H03438
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古居 彬 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (30868237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 宏旭 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (30910301)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 筋電位信号 / 確率的生成モデル / もつれ解き表現学習 / 動作認識 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,筋電位信号に対するもつれ解き表現学習法の開発とその応用である.本研究の目的達成のため,(A) 複数因子と紐付いた独自の筋電位データセット作成,(B) もつれ解き表現学習のための生成・推論モデル構築,(C) ロバストな操作インタフェースへの応用といった研究項目に取り組む.以下,それぞれの項目に関する研究実績である. (A) 筋電位データセットを作成するための,計測環境整備の取り組んだ.様々な因子と紐づいたデータを取得するためには,被験者に対して適切な教示を行うような仕組みを導入することに加え,統一的な実験手順で計測を行う必要がある.そこで,計測機器と連動し,半自動で実験を実施可能なGUIベース計測システムの開発を行った.本システムにより,実際の計測実験を効率的かつ高い信頼性で実施することが可能となった. (B) もつれ解き表現学習を行うための,基本的なモデル構築に取り組んだ.Variational autoencoder (VAE) に動作認識構造を組み込んだ新たな生成ニューラルネットワークを提案し,姿勢と筋力を含む既存データセットを用いて有効性を評価した.その結果,損失関数に適切な制約を加えることで,半教師ありでのもつれ解きが可能であることを示した(国際学術雑誌投稿へ向け準備中)また,将来的な被験者間転移学習の基盤を作るため,ベイズ機械学習に基づく新たな転移学習法を提案した(Yoneda and Furui, SMC2024). (C) 適切に分類器の不確実性を評価可能な技術の開発に取り組んだ.その準備段階として,筋電位パターン識別における分類器の信頼度に関する評価(Furui, EMBC2023)や,複数の基本動作を組み合わせた複合動作を効率的に認識可能なアルゴリズムの開発に取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,(A) 複数因子と紐付いた独自の筋電位データセット作成,(B) もつれ解き表現学習のための生成・推論モデル構築,(C) ロバストな操作インタフェースへの応用のいずれの項目において一定以上の成果に繋げることができた.特に,本研究課題の核となる (B) について,実際にもつれ解き表現学習が実現可能なプロトタイプモデルの開発まで進めることができた.一方,当初の予定では2023年度中に (A) を完了する予定であったが,計測システムの構築に想定以上の時間がかかり,実際の計測実験の実施までには至らなかった.以上より,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,まずは筋電位データセットの構築を優先的に進める.2023年度に開発した計測システムを実運用し,まずは小規模な被験者群に対して問題なく計測できるかを確認したのち,本格的な計測実験に移行する予定である.また,もつれ解き表現学習法の構築をさらに発展的に推進する.特に,教師ラベルに可能な限り依存しないような生成・推論モデルを構築することで,被験者の負担を抑えながら,もつれ解きが可能な手法の実現を目指す.さらに,ベイズ学習に基づく効率的な被験者間転移学習や,適切に構成された確率値を出力できるような分類器の開発に関する研究にも引き続き取り組む予定である.
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