2023 Fiscal Year Annual Research Report
同一駆動機構を有する力触覚提示グローブと高把持力ソフトロボットハンドの実現
Project/Area Number |
23H03475
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舟洞 佑記 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20633548)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヒューマンマシンインターフェース / 人間機械協調 / ソフトロボティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主に研究項目「多様な力触覚をフィードバック可能な能動手袋の開発」と「高把持力を有する手袋型ソフトロボットハンドの開発」に取組んだ。以下に詳細を示す。 「多様な力触覚をフィードバック可能な能動手袋の開発」では、第二指から第五指の屈曲・伸展を誘発する能動手袋を試作した。また、能動手袋上に配置した人工筋を駆動するための制御系、及び、手指姿勢を取得するための計測系を構築した。計測系として、まずはマーカレスで手指姿勢を取得する環境を構築した。しかし、手指形状から画像処理的に姿勢を取得するため、人工筋を配した能動手袋では手指形状を正しく認識できず、手指姿勢の安定した取得ができなかった。そこでマーカを配置することで安定して手指姿勢を取得できる計測環境へ切り替えることとした。当初予定では、指の屈伸動作のみならず内外転動作も誘発する予定であったが、制御系・計測系の検討と構築に注力したため、第二~五指の屈伸動作の誘発に留まった。次年度早々に、第二指から第五指の内外転、及び、第一指の動作を誘発可能な人工筋配向を明らかにする。その後、得られた知見に基づいて人工筋配向を検討し、フィードバック可能な力触覚情報の改良に努める。 「高把持力を有する手袋型ソフトロボットハンドの開発」では、「多様な力触覚をフィードバック可能な能動手袋の開発」で開発した第二~五指の屈伸動作を誘発可能な能動手袋内に3Dプリンタで製作した手指の骨格を配置、能動手袋をロボットハンドに活用できる可能性を検証した。球体を用いた基礎的な把持実験により、骨格を有することで把持性能が向上することを確認した。また、能動手袋による手指動作の誘導効果向上が把持性能の向上につながる可能性も見えた。当初計画通りに、次年度以降、把持性能の向上を目指して手袋内部構造の改良を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個々の研究項目においては多少の前後はあるものの、全体としては当初計画に従っておおむね順調に研究が進んでいる。 研究項目「多様な力触覚をフィードバック可能な能動手袋の開発」では、第二指から第五指の屈伸動作を誘発可能な人工筋配向を検討した。基本的な屈伸運動の誘発は確認できた一方で、指の可動範囲に対しては十分に対応できていない。手袋表面という限られた領域において、屈伸のみならず内外転を誘発しつつ、可動域を拡大する配向を引き続き調査していく。また、手袋に配向可能な人工筋スペースの都合上、既存の人工筋では掌部に触感覚を想起させ難い点が見えた。掌部に触感覚を想起させる新たなアプローチを模索する必要性を受け、幾つかの案をまとめている。なお、人工筋駆動用の制御機器と基本的な制御プログラムはおおむね構築ができている。構築済みの制御系を研究項目「リーダ・フォロワロボットハンドシステムの構築」にも利用することで効率的に研究が推進できる見込みである。 研究項目「高把持力を有する手袋型ソフトロボットハンドの開発」では、初年度の2023年度に試作した第二指から第五指を駆動可能な能動手袋内部に、3Dプリンタで印刷した手の骨格モデルを挿入することで、手指動作が再現可能なことを確認した。試作した骨格モデルは、幾つかのパーツを輪ゴムで結合することで受動関節が構成されている。能動手袋内部に受動関節を持つ骨格モデルを配することで、球体の把持性能が向上することを確認した(2024年度の学会で発表予定)。一方、ハンドとしての指の可動域は十分とは言えず、改良を要する。ただし、能動手袋の可動域が拡大できれば、ハンドとしても可動域が拡大できると見込まれるため、能動手袋の改良と併せて確認を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画に従って3つの研究項目「多様な力触覚をフィードバック可能な能動手袋の開発」「高把持力を有する手袋型ソフトロボットハンドの開発」「リーダ・フォロワロボットハンドシステムの構築」に取組む。 「多様な力触覚をフィードバック可能な能動手袋の開発」では、初年度に試作した能動手袋を多様な力触覚をフィードバックできるように改良する。2024年度当初に、内外転動作も誘発可能な人工筋配向を検討する。併せて、複雑に動く親指部に対する人工筋配向も検討し、力覚を提示可能な手袋を開発する。また、手指に特化したモーションキャプチャシステムを導入、指軌道を精度よく計測可能な環境を構築する。2024年度後半に、掌部に触感覚を想起させる新たなアプローチを模索する。最終的に、着用者の各指の軌道の制御精度と掌部への提示圧と押し感の強度を定量的に評価する。 「高把持力を有する手袋型ソフトロボットハンドの開発」では、初年度の知見に基づき把持性能の向上に取組む。2024年度から2025年度前半にかけて、把持性能を定量的に評価しつつ手袋内部の構造検討を繰り返し、把持力と保持把持力の向上を図る。ここでは把持性能の評価に加えて、各指の軌道制御精度も併せて評価する予定である。 「リーダ・フォロワロボットハンドシステムの構築」では、開発した能動手袋と手袋型ソフトロボットハンドを用いて、リーダ・フォロワロボットハンドシステムを構築する(2024年度中)。2025年度には、能動手袋によるロボットハンドの操作性評価、及び、能動手袋を介したロボットハンド側の力触覚フィードバック効果を検証する。なお、本研究期間の範囲では、新規発想に基づいた操作インタフェース・ロボットハンド統合システムの構築と操作・力触覚フィードバックの基礎的な検証に留める。具体的には、不定形物の把持成功率、把持状態での姿勢変更の成功率を評価する予定である。
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Research Products
(2 results)