2023 Fiscal Year Annual Research Report
照明の「演質感性」指標の確立 -感性再現に至適な照明設計技術へ向けて-
Project/Area Number |
23H03484
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 岳大 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40549036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 望 東京理科大学, 創域理工学部建築学科, 教授 (40349832)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 照明環境 / 質感 / 光沢感 |
Outline of Annual Research Achievements |
光沢感知覚は、物体表面の光反射特性だけでなく、その三次元形状や照明環境によっても影響を受ける。しかし、照明環境が光沢感知覚に及ぼす影響を定量的に評価する手法は存在しない。この問題に対処するため、2023年度には、多様な照明環境下での光沢感知覚に適した照明環境の要因を明らかにするための方法論を確立することを目指した。 この目的のために、ヒトが光沢感判断の手がかりとして利用するとされる物体画像の特徴量に基づくモデル(物体モデル)を初めに構築し、このモデルを用いて様々な照明環境下での光沢感知覚量を推定できるようにした。次に、物体モデルによる光沢感推定値を活用することで、多様な照明環境における光沢感を心理実験なしに推定できるようにした上で、その推定値に基づき、照明環境の特徴量から光沢感知覚への照明の影響の強さを説明するモデル(照明モデル)を開発した。最終的に、この照明モデルを用いて、光沢感知覚に適した照明環境の特性を特定した。この方法の利点は、時間とコストを抑えつつ、様々な照明環境下での光沢感を効率的に推定できる点にある。このアプローチにより、広範な応用可能性を持つモデルが作成された。 最後に、照明モデルの分析により、光沢感知覚に影響を与える照明環境の画像特徴量が検討された。その結果、従来研究で提案された「Brilliance」という特徴量が、先行研究と同様に光沢感との相関を示すことが確認された。さらに、本研究では、より多くの照明環境を用いたことで、これらの示唆が多様な環境に適用可能であることが示された。また、球面調和関数における中程度の周波数成分が、Brilliance以上に照明による光沢感知覚の変化をよく説明することが示された。これにより、光沢感性をより良く説明する新しい照明環境の特徴量が見出される可能性が高まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
演光沢感性を説明するモデルの構築方法を、予定通り確立することができたため。さらに、その方法論に基づき演光沢感性に関わる照明環境の特徴についても手がかりを得つつあり、今後の研究方針が明確になったと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、照明環境の画像特徴量から演光沢感性(照明環境が光沢感に与える影響)を説明するモデルの構築と、そのモデルに影響を与える照明環境中の特性を把握する方法論がほぼ確立された。今後は、この方法論を活用して、実環境に近い条件下で演光沢感性に影響を与える照明環境の特性を明らかにし、実用に適するレベルのモデルへと発展させる計画である。具体的な方針は以下の通りである。 【多様な物体を用いたモデル作成】これまでの段階では、評価に用いられた物体素材のカテゴリが2種類と限られており、モデルの汎用性の評価が十分ではなかった。プラスチック、金属、ガラスなど、素材によって、物体の形状や表面の法線分布によって、光沢感に及ぼす照明環境の影響は異なると考えられる。そのため、より多様な物体条件に対してこれまで構築したモデルを評価するとともに、必要に応じてモデルを再調整することにより、その汎用性を検証する。 【現実環境に近い条件でのモデル評価】これまでは心理実験の時間的制約から静止した二次元の物体画像を刺激として使用していたが、実際の環境では物体を手に持ち動かしながら、かつ両眼視差を利用しながら、光沢感を判断することが多い。さらに、実物体に対する網膜像の輝度ダイナミックレンジはディスプレイのそれよりも大きい。そこで、ヘッドマウントディスプレイや広ダイナミックレンジディスプレイ、ミラーステレオスコープなどを用い、実環境に近い条件で物体画像の光沢感を評価し、構築した演光沢感性モデルがこれらの条件でも実用に耐えるかを検証する。
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Research Products
(3 results)