2023 Fiscal Year Annual Research Report
トピックモデルを用いた多様な感情解釈による潜在感情推定
Project/Area Number |
23H03486
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
武村 紀子 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60733110)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 感情推定 / 表情認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
表情による感情認識技術は様々なサービスやシステムに活用できるため,近年盛んに研究が行われている.しかし,従来研究のほとんどは,基本感情と呼ばれる単純で明確な感情を対象としており,実システムへ応用するためには,認識対象を複雑で曖昧な感情へと広げていく必要がある. 近年の表情認識では,CNN (Convolutional Neural Net-work) を用いるのが主流であるが,高い認識精度が得られる一方で,学習時に大量のデータが必要となる.複雑な感情は日常生活で自然に表出するため,人為的に表情データを作るのが難しい.また,複雑な感情は曖昧なものが多く,正しくアノテーションすることも容易ではない. 一方,心理学の分野では,多種多様な感情は基本感情を組み合わせた複合感情として表現可能であるという考え方がある.基本感情は,一般的に人々が共有しやすい感情カテゴリであり,これを基盤として複雑な感情を説明することで,解釈性を大きく向上させ,人間の感情の微妙な違いをより詳細に表すことが可能になる. そこで本研究では,複雑な感情を基本感情の組み合わせで表現するという考え方に着目し,基本感情に関する特徴のみを用いて複合感情を推定する手法を提案する.つまり,複合感情のデータを使用せず,基本感情のデータのみを用いて複合感情推定モデルを構築する.本手法では CNN に基づくモデルを使用し,基本感情データを用いて基本感情に関する特徴抽出器および,各基本感情の特徴を表す代表ベクトルを学習する.この際に角度に基づく距離学習を導入することにより,各感情の分離した特徴を得ることができる. 複合感情を推定する際は,基本感情の代表ベクトルを線形結合することで複合感情の代表ベクトルを定義し,上記の特徴抽出器で得られる基本感情に関する特徴ベクトルと各複合感情の代表ベクトルとの角度的な関係性から推定する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は基本感情の強度分布に対し,トピックモデルを適用することで潜在感情のクラスタリングを行う予定であったが,単純にトピックモデルを適用するだけでは潜在感情を適切にクラスタリングすることは困難であった. そこで,まずは,基本感情の特徴のみを用いて複合感情を推定することが可能であるかどうか,つまり,基本感情の強度分布により,複雑な潜在感情を表現可能であるかどうかを検証した. 本検証により,基本感情の特徴抽出において,角度による距離学習が有効であることがわかった.さらに,基本感情の特徴のみを用いて複合感情の推定を行う本提案手法では,複合感情データを用いてモデルを学習した場合と比較し,同等かそれ以上の推定精度を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,2つの基本感情からなる複合感情だけではなく,より複雑な感情についても推定可能であるか検証を行う.また,2023年度に提案した,角度による距離学習により得られた基本感情の特徴分布を用いて,潜在感情のクラスタリングを試みる.
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