2023 Fiscal Year Annual Research Report
全環境トランスクリプトームの種間比較による実験動物適用限界の明瞭化
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23H03490
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大林 武 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50397048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 克哉 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (40344709)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 比較トランスクリプトーム / 遺伝子共発現ネットワーク / 実験動物 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、比較トランスクリプトーム解析を用いて実験動物の適用限界を明瞭化する。トランスクリプトームの種間比較を行うには、生物種を超えた遺伝子の対応付けだけでなく、サンプルの対応付けも必要である。異なる生物種では、遺伝子の種類、各組織における遺伝子発現、器官を構成する組織の割合、個体の成長速度など、多くの相違が存在する。これらの階層的な相違を考慮に入れるため、本研究では各生物種の発現量データを種間比較可能な形式に変換して解析する。ヒト、マウス、ラットを対象に、公共レポジトリから得たRNAseqデータを基に遺伝子発現データを構築し、主成分分析を用いてサンプルの線形変換を行った結果、合成されたメタサンプルの寄与率が冪乗的に減衰することが観察された。この冪乗的減衰は生物学的に本質的な特性である可能性がある一方で、データ処理の不完全さが原因である可能性もあるため、RNAseqデータから遺伝子発現量データを導出するマッピング方法について検討を行った。特に、生物種間で遺伝子が多対多に対応している場合、マッピング方法が遺伝子共発現関係に有意な影響を与えることが明らかになった。 並行して、比較トランスクリプトーム法の検証として、脳における遺伝子発現と機能の解析方法の高速化を行った。In situ hybridization法や免疫染色法は、組織上での遺伝子やタンパク質の発現を可視化する重要なツールであるが、大量の遺伝子について繰り返し測定を行うには時間がかかる。そこで、電解攪拌技術を応用し、反応時間を短縮する試みを行った結果、免疫染色法においては、従来2日間を要していた工程を2時間以内に短縮することができ、大量解析の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ変換に基づく比較トランスクリプトーム解析とその背景技術、ならびに組織学解析の観点から、解析技術の高精度化を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
scRNAseqの活用等により、比較トランスクリプトーム技術の高精度化を進め、それをケーススタディへと展開する。
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