2023 Fiscal Year Annual Research Report
「科学者のような学び方」を学ばせる計算論的ラーニングアナリティクス基盤
Project/Area Number |
23H03507
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 昌也 九州大学, 共創学部, 准教授 (10418519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 昌裕 近畿大学, 情報学部, 准教授 (40418520)
木實 新一 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70234804)
木庭 啓介 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90311745)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 科学者育成教育 / ラーニングアナリティクス / 学び方の学習 / 計算論モデリング / 行動情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
科学技術立国・日本を標榜したとき,日本の博士課程進学者は2003年度をピークに減少し続け(現在,年間1.5万人),日本の科学技術を担う次世代の科学者が増えにくくなっていることが,強く懸念される.このことを受け,本研究では,次世代の科学技術イノベーションを担う「科学者を志す人々」を育成する,ラーニングアナリティクス基盤を創出することを目的としている.この目的を達成するために,科学者が行う理想的な学び方を,計算論的にモデリングし,「科学者のような学び方」を学ばせる技術を開発している. 本年度,以下の研究を行った. 基礎研究として,学習者が,実世界の中で「連続的に経験を生成する過程」の基盤にある信念システムを,計算論的にモデリングした.このモデルは,grounded cognition(基盤化された認知)によって学習者の内的知識空間を,操作・更新するためのプロセスを表現するものであって,確率的行動価値計算,学習者間の身体間協調(センサ・モーター協調系)に関する仮定を含む.このモデルを用いた定性的な分析の結果,grounded cognitionによって形成される学習者の知識空間は,会話空間のセマンティクスを捉えることで観察可能となるという初期的知見を得た.また,京都大学において,実際の科学者が教育を行う際の発話プロトコルを取得し,その会話セマンティクスに関して初期解析を行うことによって,「科学者のような学び方」を構成する認知的操作などについて,初期的知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学習者が,実世界の中で「連続的に経験を生成する過程」の基盤にある信念システムを,計算論的にモデリングし,そのモデリングの表現について定性的に有効性を確かめた.この成果が国際会議論文として採択され,また,次年度以降に研究を加速するための基礎データの要件も検討できたため,本研究の実施状況としては,概ね順調と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
京都大学において,科学者が教育を行う際の発話プロトコルをさらに取得し,より高度なセマンティクス解析を行うことによって,「科学者のような学び方」を実現する内的過程について知見を整理し,これを計算論的にモデリングする手法を考案・実装する.
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