2023 Fiscal Year Annual Research Report
熱圏温度ライダーの開発と地上温度変化の高精度モニタリングへの展開
Project/Area Number |
23H03532
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
斎藤 徳人 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (90333327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 悟徳 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60212130)
津田 卓雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90444421)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ライダー / 熱圏 / 半導体レーザー / 固体レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
ライダー法による熱圏の温度他物理パラメーターの観測を実現するために、レーザー光源と受信光学系の開発研究を行った。レーザー光源については、半導体レーザー励起の固体レーザーの実現に向けて、分布帰還型半導体レーザー(DFBレーザー)を基礎としたナノ秒パルスシーダーの開発を完了した。DFBレーザーへ印加する電流を直接変調することにより、パルス動作化、ナノ秒領域においてパルス幅の制御が可能である。繰り返し速度は500 Hz以下の範囲で変更できる。それにより、300 kmまでの高度では、後続パルスに影響されない単一パルスによる事象の観測が可能である。スペクトル線幅は、プローブとなるヘリウムや窒素分子イオンを効率よく励起できるよう約1 MHzに設定した。これを増幅するための固体増幅器を構成し、1 mJの出力エネルギーが得られている。さらに中型ー大型の固体増幅器を開発中である。780-800 nm領域及びその第2高調波領域、1083 nmにおいて数mJから50 mJの出力パルスが得られる見込みが立っている。以上と並行し、主鏡の直径が350 mm、500 mmのカセグレン望遠鏡を基礎とした受光系の開発も進めている。検出器として用いる電子冷却式のMulti-Pixel Photon Counterへの散乱光の導入光学系の設計が完了し、それに沿って光学系を構成中である。レーザー光源と受信光学系の開発ともに、当初の予定通りに進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライダー観測のための主要な要素技術となるレーザー光源及び受信光学系の開発が予定通りに進んでいる。レーザーについては、ライダー観測のカギとなるスペクトル線幅を、ヘリウムや窒素分子イオンの共鳴スペクトルを効率よく励起できるよう、1 MHzまで狭帯域化し、mJレベルまでの出力エネルギーの増幅が実現している。また単一パルス事象の観測を積み重ねていくため、500 Hz以下での繰り返し速度(パルス動作)の制御が可能となっている。受信光学系は、代表者、分担者の開発した現在運用中の北極圏ライダーの受信光学系の技術を基に、その発展型を開発中である。いずれも最上位の技術を導入した最新のシステムが実現する運びである。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に引きつづき、要素技術の充実を図る計画である。 (1) レーザー光源として、増幅系を充実させ、狭帯域スペクトル(1 MHz程度)で、数mJから50 mJの出力パルスを出力可能な半導体レーザー励起固体レーザーを実現する。 (2) ライダー観測における、シグナルノイズ比の増大の必要性を考慮し、パルスエネルギーのスケーラビリティを高めるため、増幅器の技術を充実させる。 (3) 熱圏の温度他、物理パラメーターの決定のため、音響光学素子を用いた、高精度周波数シフトシステムを開発する。 (4) 受信光学系を完成させる。受信光学系もシグナルノイズ比の増大の必要性を考慮し、ディテクターの冷却・恒温化システムの導入を検討する。 (5) レーザー光源、受信光学系を融合させ、2025年度以降に予定しているライダーの原理観測の準備を開始する。
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[Presentation] A statistical study of static and dynamic instabilities between 80 and 100 km at high latitude MLT region above Tromsoe2024
Author(s)
Satonori Nozawa, Norihito Saito, Takuya Kawahara, Satoshi Wada, Takuo T. Tsuda, Sakiho Maeda, Toru Takahashi, Hitoshi Fujiwara, Lakshmi Narayanan Viswanathan, Tetsuya Kawabata, Magnar G. Johnsen
Organizer
ISSI International Team 23-580
Int'l Joint Research
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