2023 Fiscal Year Annual Research Report
放射線増感と抗腫瘍免疫活性化を実現する低分子-無機材料コンビネーション薬剤の開発
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23H03543
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
孫 略 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40757704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古場 裕介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 主任研究員 (10583073)
杉浦 悠紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70755040)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | がん / 放射線治療 / 無機材料 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで死亡すると言われている。一方で、生産性維持のため、治すだけでなく、患者の労働力低下の抑制を図らなければならない。がん治療の中でも患者負担が小さい放射線治療の重要性が増している。放射線治療の予後向上には放射線増感剤の開発が有効である。しかし、これまでに放射線増感剤として上市された薬品は少ない。本研究では、微粒子の放射線分散作用による放射線量集中と、低分子による免疫調整を合わせもつ複合(コンビネーション)放射線増感作用をもつ薬剤を開発する。無機材料の放射線増感剤として、金ナノ粒子や酸化ハフニウム粒子が知られているが、本研究ではこれらが持つ線量集中性に加えて、新規作用を持つ粒子を開発する。1年目は、候補粒子(これまでの予備実験で合成した粒子や市販の粉から作成した粒子)30種類以上について、細胞及びマウスを用いて、毒性安全性試験を行った。次に、細胞及びマウスを用いて薬効試験を行い、候補粒子を元素レベルで絞り込みを行った。さらに、シミュレーション実験のジオメトリを構築し、絞り込んだ候補粒子の放射線散乱作用について解析を進めている。興味深いことに、当初は全く想定していなかったが、いくつかの粒子はその物理作用による放射線散乱だけでなく、化学作用による効果も期待できる可能性を見出した。特に代表的な1粒子について、予備的バイオインフォマティクス解析を行った。また、次世代放射線治療として期待があるFLASHとの併用効果についても解析を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、粒子の開発とコンビネーションたる薬剤の探索開発を行うが、化学作用のメカニズムを解明し、それと相乗効果を期待しうる薬剤を用いることが効率的と考えている。そこで、まず、1年目に絞り込んだ粒子のサイズ、形状、表面修飾を変えて作成して、より増感効果が期待できる形態を明らかにする。さらにその増感メカニズムについてシミュレーション実験と生化学実験、バイオインフォマティクス解析等を組み合わせて明らかにする。同時に生体内での分布や安全性試験を行う。ある程度粒子が決まってくれば、その作用と相乗効果しうる薬剤を探索し、コンビネーション材料として整形する。
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