2023 Fiscal Year Annual Research Report
A comprehensive investigation for the distribution and characteristics of antimicrobial resistance in hospital sewage using metagenomic data
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23H03551
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
太田 悠介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (90868530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 良一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00581969)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 薬剤耐性 / 病院排水 / GES型カルバペネマーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
病院排水は様々な薬剤耐性菌のリザーバーと考えられているが、その実態は不明である。当該年度は、東京医科歯科大学病院排水より培養法を用いて薬剤耐性の中で特に問題となるカルバペネマーゼ産生菌を分離し、薬剤感受性検査と全ゲノム解析を行った。 病院排水よりGES型カルバペネマーゼ産生菌を11株(Enterobacter spp. 4株、Klebsiella spp. 3株、Aeromonas spp. 3株、Serratia spp. 1株)が分離され、薬剤感受性検査ではイミペネムとメロペネムのMICはそれぞれ≦0.5 μg/mLから>16 μg/mLと、≦0.5 μg/mLから16 μg/mLの間に分布した。全ゲノム解析では、カルバペネマーゼ活性を有するblaGES-5 (n=1)、blaGES-6 (n=4)、blaGES-24 (n=6) に同定され、これらはいずれもプラスミド上におけるTn3トランスポゾン関連領域のクラス1型インテグロンの近傍に認められた。プラスミドのタイプはIncP-6、IncC/IncF-like、IncFIB/IncF-like、IncW-likeと多岐に渡り、比較ゲノム解析ではIncP-6及びIncW-likeプラスミドは日本由来のプラスミド、IncC/IncF-like及びIncFIB/IncF-likeプラスミドは欧米由来のプラスミドと密接な関連が示された。病院排水より遺伝的性質が異なるGES型カルバペネマーゼ産生菌が幅広い菌種で分離されたことから、病院排水はこれらのリザーバーである可能性が示唆され、環境中の薬剤耐性モニタリングの必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京医科歯科大学病院排水より多様なカルバペネマーゼ産生菌を分離し、遺伝的性状を明らかにすることで、英文論文1編と国内・国際学会での発表を行った。申請書に記載の非培養法による薬剤耐性解析も予定通り進行中であり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
非培養法として用いられる16S rRNAメタゲノム解析での微生物叢解析は最適化されていないため、各ワークフローの比較及び精度管理試料の作製を試みる。病院排水のショートリードショットガンメタゲノム解析と手法が確立された16S rRNAメタゲノム解析を行い、微生物叢の各分類階級における菌種比率や多様性を示す。メタゲノムデータのアセンブリで得られるゲノム断片配列を生物種毎に再構築し、各解析手法での集合したゲノム断片の数や断片長を評価する。病院排水中RNAのショートリードショットガンシーケンスデータからmRNAを抽出し、同試料のメタゲノムデータへマッピングする。リード数を各遺伝子長による補正後、薬剤耐性関連遺伝子間でのリード数比較により特に機能している薬剤耐性遺伝子を示す。
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