2023 Fiscal Year Annual Research Report
環境因子に対する細胞の初期応答評価システムの開発:毒性学とナノテクノロジーの融合
Project/Area Number |
23H03564
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
吉田 映子 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (50735488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 新平 一般財団法人電力中央研究所, エネルギートランスフォーメーション研究本部, 上席研究員 (30371298)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 重金属 / 細胞初期応答 / 交流インピーダンス法 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では環境因子として重金属のメチル水銀、無機水銀、カドミウムや鉛による細胞の初期応答と毒性発現の関連性を評価するための手法を構築する目的で、1)電気化学計測(交流インピーダンス法)、2)機械的物性評価、3)電気物性評価の3項目に特化した評価方法の確立を目指し、検討を行った。 1)交流インピーダンス法を活用した評価系の確立:重金属水溶液、タンパク質-重金属複合体を含む溶液について解析した。メチル水銀、無機水銀、カドミウムおよび鉛に関するインピーダンス計測を実施したところ、濃度依存的なインピーダンス周波数帯のシフトが観察された。今後は血液試料や環境因子を曝露した浮遊細胞を用いてインピーダンス計測を実施する。 2)原子間力顕微鏡AFMを用いた機械的物性評価:環境因子曝露による細胞表面の形状や弾性の変化を解析するため、AFMの機械物性モードで評価するための実験系を確立した。引き続き、弾性が異なるとされる正常細胞とがん細胞の解析を行うとともに、環境因子による軽度から中程度の細胞形態変化を解析し、評価する。また、今後は機械学習による画像解析技術を構築し、軽度な細胞形態の変化を解析可能とするシステムの構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、1)電気化学計測(交流インピーダンス法)の確立、および2)機械的物性評価のための実験系の確立を実施した。特に1)については対象の重金属を曝露した浮遊細胞や血液試料の解析についても開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1)電気化学計測(交流インピーダンス法)、2)機械的物性評価、3)電気物性評価について、より精度の高い評価手法を構築するための検討を行う。 1)電気化学計測(交流インピーダンス法)を活用した評価系の確立:インピーダンス計測の検出限界濃度を算出し、従来の重金属分析法との比較を行う。さらに、各重金属を曝露した浮遊細胞や血液試料についての解析を進める予定である。 2)原子間力顕微鏡AFMを用いた機械的物性評価:引き続き、正常細胞とがん細胞の解析を行うとともに、環境因子により軽度から中程度の形態変化を引き起こした細胞を解析する。さらに機械学習による画像解析技術を構築し、軽度な細胞形態の変化を解析可能とするシステムの構築を目指す予定である。 3)原子間力顕微鏡AFMを用いた電気物性評価:環境因子により軽度から中程度の形態変化を引き起こした細胞について表面電位、抵抗、誘電率、振動数の変化を解析する予定である。
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