2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of precious metal bio-recycling technology from urban mines using colloidal techniques
Project/Area Number |
23H03576
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
野村 俊之 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00285305)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 都市鉱山 / 貴金属 / バイオ還元 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物機能を活用したバイオ還元(バイオミネラリゼーション)技術は、“常温・常圧下”で希薄な金属溶液から細胞内に高速かつ高効率に貴金属を分離濃縮して粒子化することができるが、バイオ還元するには嫌気操作が必要となる、都市鉱山からの貴金属浸出液は強酸性で金属イオンが多数共存している、などの課題がネックとなり、社会実装された例は皆無である。これらの課題を解決するために、本研究では『バイオフィルム形成技術とバイオ還元技術を融合することで、貴金属種ごとにバイオ還元能とバイオフィルム形成能に優れた微生物種を選抜し、それら微生物の種特異的なバイオ還元機能を最適化することで、都市鉱山に含まれる貴金属を浸出した強酸性廃液(実廃液)から、嫌気操作なしに各細胞内に貴金属を選択的に高速かつ高濃度に分離濃縮する技術を開発』することを目的とする。2023年度の研究では、バイオ還元能およびバイオフィルム形成能に優れた微生物の選抜と耐酸素・耐酸性の評価を試み、以下の結論を得た。 まず、研究室保存のBSL1の微生物を用いてバイオ還元能およびバイオフィルム形成能を評価した結果、いずれの微生物もバイオ還元を行うがバイオフィルム形成能を十分に有した微生物は現段階では見つかっていない。そこで、本来の目的である嫌気操作なしにバイオ還元を行う方法について並行して検討を試みた。その結果、Fe(III)還元細菌S. algaeを用いたバイオ還元では、通常、嫌気条件下で行う必要があったが、予め細胞懸濁液に電子供与体としてギ酸塩を20分以上供与すると、溶液中の酸素が消費されて大気環境下でも安定してバイオ還元できることが明らかとなった。また、強酸性条件下では細胞が死滅するためバイオ還元はできなかったが、安価なNaOHを用いて水溶液を中和すると、王水の模擬浸出液からパラジウムを回収できる操作条件を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオ還元能およびバイオフィルム形成能に優れた微生物の選抜については、現段階では最適候補の探索中である。しかし、バイオ還元手順を検討することで、大気環境下で嫌気操作を行わずにバイオ還元できる方法を見出した。以上より、本研究は、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の通りである。 1)バイオ還元能およびバイオフィルム形成能に優れた微生物の選抜を継続して実施する 2)バイオ還元メカニズムの解明とバイオ還元操作の最適化を行う。 3)強酸性実廃水を用いたバイオフィルム化微生物による貴金属分離回収の実証試験を実施する。
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Research Products
(7 results)