2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment and practice of a forest symbiosis model using the conservation genomics methods: the relationship between koalas and eucalypts
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23H03579
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 卓志 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (00758493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 安香 明治大学, 農学部, 特任講師 (10802978)
土田 さやか 中部大学, 応用生物学部, 講師 (40734687)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | コアラ / ユーカリ / 苦味受容体 / ゲノム解析 / カンガルー島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコアラのユーカリ選択の遺伝的なメカニズムを解明し、保全の現場に還元することを目的とする。2023年度は、コアラの全ゲノム多型解析、コアラの苦味受容体のリガンド探索、ユーカリの成分分析、カンガルー島での野外調査をおこなった。まず、日本国内で飼育されているコアラについて全ゲノム塩基配列を決定し、観察された行動や飼育担当者へのインタビュー結果との相関を分析した。また、シドニー大学との共同研究で、地域由来が確定している400個体のコアラの全ゲノム配列について、特に苦味受容体遺伝子に注目して比較解析した。次に、コアラが持つ苦味受容体(TAS2R)遺伝子の一部について、培養細胞に発現させて、どのような化合物が苦味物質として応答するか、機能解析スクリーニングをおこなった。同時に、ユーカリの網羅的メタボローム成分分析もおこない、実際にユーカリに含まれている化合物とコアラ苦味受容体の機能的な関係について考察した。最後に、コアラの生息地である南オーストラリア州カンガルー島のハンソンベイ・サンクチュアリにおいて、アデレード大学との共同研究で野外調査を実施し、コアラが利用するユーカリの樹種データ、コアラゲノム、ユーカリを収集した。コアラDNAやユーカリDNAについてはアデレード大学において一部を分析した。2024年度にはこれらのデータとサンプルをさらに詳しく分析する。またコアラの腸内細菌に関する論文を投稿した。これらの基礎データをもとに、次年度以降、さらなるメカニズムの解明に挑戦する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はコアラとユーカリの関係に関する、ゲノム解析、受容体機能解析、腸内細菌、化学分析、野外調査と多岐にわたるが、2023年度に計画していた基礎データの取得に予定通り成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に得た基礎データを確実なものとするとともに、ユーカリ選択の因子となるコアラの苦味受容体とユーカリ成分の関係を機能的に明らかにすることを目標とする。また、腸内細菌の分析(メタゲノム解析、機能解析)を進めて、ユーカリ食におけるコアラ共生微生物の役割についても明らかにする。
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