2023 Fiscal Year Annual Research Report
医師の情報要求傾向の可視化による病理学的情報循環モデルの構築
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23H03693
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中西 陽子 日本大学, 医学部, 准教授 (90366592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 悠一郎 日本大学, 理工学部, 准教授 (70440807)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | がん / 鑑別 / タンパク質 / 遺伝子 / 情報組織化 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、我々がこれまで構築してきた、がんの診断に必要な、エビデンスに基づく病理学的情報の一元的な組織化と提供を継続することによって、これを利用する医師の情報要求を質的および量的に可視化して、優先度の高い研究開発シーズを見出せる可能性を明らかにすることである。 令和5年度は、①病理学的知識情報を集約しているマスタデータを活用した可視化方法の検討、②アクセス解析方法の検討、③企業へのヒアリングを実施した。 ①マスタデータを用いた可視化効果:これまでマスタデータは、マスタデータ作成支援システムVer.0.6で入力し、表形式で管理していた。今回、データ構造を可視化するための樹形図表示機能を追加し、マスタデータ作成支援システムVer.0.7として構築した。樹形図表示では、マスタデータの縦方向に同一データがあれば一つにまとめ、データの左を親、データの右を子要素として表示した。さらに、任意のデータをクリックすると、その子要素を開閉するようにした。表示のわかりやすさについてアンケート調査を行った結果、表形式よりも樹形図表示が高い評価を得た。 ②アクセス解析のためのログ取得機能の追加:医師が日常的に求めている病理学的情報を集約する方法として、これまでに構築してきた病理診断ガイドアプリケーションシステムへのアクセスログ取得機能を追加した。 ③企業へのヒアリング:病理診断ガイドアプリケーションシステムを維持、管理して、医師に利用し続けてもらうことで、医師が求める情報の分析と可視化が可能になると考える。この情報から、今後の検査試薬開発シーズを得ることの有用性、ならびにシステムとの連携方法について、病理診断に関連のある2社より、遠隔、リモート診断時のシステム利用の有用性、開発シーズを見出す資料としての可能性、検査項目から試薬の詳細情報につながるツールとしての有用性などについて意見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画として、情報循環モデルを構築するにあたり、情報利用による情報生産者となることが期待される企業などの研究開発側へのヒアリング調査を重視していた。ヒアリングにより、必要度の高いデータ項目を選定して、データ構造の改修を進めていく予定であったが、実際に数社にヒアリングを行った結果、企業側が我々の構築中のシステムで収集される情報を利用するだけではなく、システムとの連携についての提案があった。このため、データ構造だけに特化するのではなく、システムの発展的利用方法についても検討することになった。これらの結果、グローバル企業にも利用しやすいシステムの多言語化としての英語版作成、企業が利用できる情報をサンプル提示できるようアクセスログの保存機能の追加も併せて進めたため、概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、医師のシステム利用の有用性、医師によるシステム利用状況を活用することの有用性を相互に高めることが重要である。 そこで、今後の研究活動として、学術集会での発表などにより、試験公開中の病理診断ガイドアプリケーションシステムの利用促進に努めるとともに、医師への利用アンケートを実施する予定である。システム利用を促してアクセスログの収集を進めることと並行して、企業のヒアリング件数も増やし、より有効なログの解析方法、可視化の方法を検討していく。
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