2023 Fiscal Year Annual Research Report
核スピンの量子状態操作に基づく超高感度磁気共鳴分子イメージング法の開発
Project/Area Number |
23H03723
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 宏彦 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40506466)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 磁気共鳴イメージング / 分子イメージング / 核磁気共鳴 / 超偏極 / MRI / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体内分子の時空間動態を可視化する高感度MRI技術の開発を目指している。その実現に向けて、1)量子超偏極技術の開発、2)新規計測対象分子の探索、3)高効率な信号計測法の開発、4)高速撮像法と時空間画像再構成法の開発、5)ノイズ低減手法の検討、6)動物実験による検証、などの各研究課題を進めている。初年度は以下の基礎検討を行った。 1)超偏極法は観測対象とする核種のMR信号を一時的に増大させることが可能な技術である。まずは標準的な超偏極法を用いて標準的な分子を対象に超偏極状態を生成し、MR計測により信号の増大を確認した。 2)超偏極技術により特定分子のMR信号は増強できるが、生体計測に利用可能な対象分子は限定的である。そこで新たな対象分子を探索する。候補分子のMR計測から得た固有の特性も考慮し、新たな化合物の合成経路も含めて候補化合物を選定した。 3)超偏極法により一時的に増大したMR信号は、MR計測を含む複数の要因により時間経過とともに減弱する。そこでこのような特徴を有する超偏極磁化を高効率に検出する計測手法を新たに設計・実装した。 4)生体内における特定分子の情報を知るためのMRIは通常のMRIに比べて計測に時間を要する。そこでこの課題を解決するための高速撮像手法を考案・実装した。計算機シミュレーション実験およびファントム溶液による計測実験を行いその特性を評価した。 5)MR画像の空間分解能や時間分解能と信号雑音比はトレードオフの関係にあるため、高時空間分解能での画像化にはノイズ抑制手法の検討が必要である。そこでMR計測データが含む熱ノイズに対する低減手法を検討した。計測した信号に対し数理的な処理を行う手法の検討および信号計測時の信号雑音比向上を意図して新規に設計・導入したMR信号検出コイルの検討を行い、それぞれについてその有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規化合物の合成に関する進捗が当初の計画よりもやや遅れているがその他は順調に進捗しているため、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施した5つの研究項目のうち、当初の計画よりもやや遅れている新規化合物の合成に関しては、有機合成の専門家に積極的に協力を得るための体制を整えつつある。
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