2023 Fiscal Year Annual Research Report
人工高分子PEGに対する生体防御反応の解明と統合的理解
Project/Area Number |
23H03739
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50325271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 英紀 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00735524)
清水 太郎 大阪大学, 微生物病研究所, 特任講師(常勤) (30749388)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | PEG修飾製剤 / 抗PEG抗体 / infusion reaction / CARPA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「人工高分子のPEGを免疫系がどのように認識して抗PEG抗体を分泌するのか」、「誘導された抗PEG抗体がどのようにPEG修飾製剤を認識し免疫系を活性化するのか」を明らかにし、世界的に注目が高まっている抗PEG免疫におけるmissing piecesを補完し、全体像を明らかにすることを目的としている。研究代表者らは既に、PEG修飾リポソームがT細胞非依存的抗原として脾臓辺縁帯B細胞(MZ-B細胞)を直接活性化して抗PEG抗体を分泌することを示している。そこで、マウスからMZ-B細胞(CD21high, CD23-)をFACSで選択的に回収し、種々のPEG修飾製剤と共培養し、培養上清中の抗PEG抗体を測定し、顕著な分泌を認めた。さらに、腹腔内B1細胞(B220+, CD23-)に着目し、抗PEG抗体誘導への寄与についても検討を行い、一定の寄与があることを確認することができた。一方で、抗PEG抗体分泌B細胞は常にその表面にPEGを認識する抗体を提示している事が想定されている。そこで、様々な組織・臓器から回収したB細胞から蛍光修飾製剤と相互作用するものをFACSで分離し、その性質をフローサイトメトリーで直接的に分析することを試みたが、組織中から十分な数の単球を回収できないこと、また用いた蛍光プローブの蛍光強度不足によって再現性のある結果が得られていない。現在、組織や臓器からの回収効率の改善や蛍光強度の強いプローブを用いるなどして改善を進めている。また、研究代表者らは既に抗PEGモノクローナル抗体(IgG, IgM)を確立しており、生体分子間相互作用解析システムを利用し、抗体と各種PEG修飾製剤の相互作用について定量的に評価した。PEG修飾製剤のPEG修飾率や分子量、PEG製剤自体の大きさなどによって抗PEG抗体との親和性が変化することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「人工高分子のPEGを免疫系がどのように認識して抗PEG抗体を分泌するのか」、「誘導された抗PEG抗体がどのようにPEG修飾製剤を認識し免疫系を活性化するのか」を明らかにし、世界的に注目が高まっている抗PEG免疫におけるmissing piecesを補完し、全体像を明らかにすることを目的としており、当初計画通り概ね進捗していることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初計画通りおおむね順調に進捗していることから、次年度以降においても当初の計画通りに研究を進め「人工高分子のPEGを免疫系がどのように認識して抗PEG抗体を分泌するのか」、「誘導された抗PEG抗体がどのようにPEG修飾製剤を認識し免疫系を活性化するのか」という2つの大きな命題を明らかにする。
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