2023 Fiscal Year Annual Research Report
法医剖検脳のリサーチリソース化とその特性を生かした多角的臨床病理研究
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23H03759
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西田 尚樹 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (10315088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 由紀子 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (30311674)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 神経病理 / 神経外傷 / 神経変性疾患 / てんかん / レビー小体病理 / 進行性核上性麻痺 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 頭部外傷急性期死亡例(脳挫傷20例、急性硬膜下血腫5例)につき,amyloid 前駆タンパク(APP)の免疫染色を施行し、脳内各所における発現部位や陽性像の形態を記録した. 今後、非外傷死亡例の染色を施行して、2次性軸索損傷との鑑別に十分に留意した外傷性軸索障害の診断基準の確立を目指す. 2. 脳,末梢自律神経の検索からLBD(パーキンソン病,レビー小体型認知症)の原因となるリン酸化a-synuclein陽性の神経組織内封入体を有する症例群(約350例)の病変出現部位を記録した。全体を年齢,性別を一致させた非有病者300例の抽出を終了した。今後、傾向スコアを用いて年齢,性別,他の神経病理所見の影響を補正した上で統計学的に比較検討し,レビー病理が突然死,精神症状(特に気分障害),自殺の有意な危険因子となるか検証する. 3. PSP例を抽出して(調書作成時点で現在120例),(1)超早期病変の出現部位,細胞(neuron, astrocyte, oligodendrocyte), (2) クラスター解析を用いて,病理学的亜型分類の有無とtau病変のステージ化が可能かの検証を行ってている. 4. 症候性てんかんと診断されていた突然死剖検例中,遺族,代諾者から遺伝子検索の書面承諾が得られている30例につき,次世代シーケンサを用いた全エキソーム解析を施行した.今後、検出された遺伝子変異の病原性の評価として,①日本人の稀少変異(頻度1%以下)の抽出,②疾患データベースClinVar,HGMDを用いた検索,③米国臨床遺伝・ゲノム学会のガイドラインに従った評価,④機能予測ツール,を施行する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画通り、4つの研究が進捗しており、当初予定していた症例数がすでに確保された。今後染色と評価を進め、次年度からは統計学的解析を開始することが可能な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)外傷性軸索損傷の診断基準の確立. 頭部外傷急性期死亡例(脳挫傷50例,硬膜下血腫20例)において,受傷後経過時間や外力の作用方向を検証した上で,免疫組織学的に脳全体におけるAPPの発現部位を検索する. (2)LBDの初期病理と進展様式,病理学的進展度と死亡原因の関係. 脳,末梢自律神経の検索からLBD(パーキンソン病,レビー小体型認知症)の原因となるリン酸化a-synuclein陽性の神経組織内封入体を有する症例群(約350例)の病変出現部位を記録し,クラスター解析を行って既知のBraak stageの有用性につき検証する. (3)PSPにおける早期病変の描出,病理学的亜型の有無,tau病理の伝播形式の検証. PSP例を抽出して(調書作成時点で現在120例),(1)超早期病変の出現部位,細胞(neuron, astrocyte, oligodendrocyte), (2) クラスター解析を用いて,病理学的亜型分類の有無とtau病変のステージ化が可能かの検証を行う. (4)症候性てんかん突然死例の遺伝子学的背景. 脳卒中,脳腫瘍などの器質的疾患を有さず,症候性てんかんと診断されていた突然死剖検例中,遺族,代諾者から遺伝子検索の書面承諾が得られている30例につき,次世代シーケンサを用いた全エキソーム解析を施行する.
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