2023 Fiscal Year Annual Research Report
ガス分子の活用により代謝を制御する新たな臓器保存システムの構築
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23H03771
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平井 宗一 日本大学, 医学部, 教授 (70516054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 匡之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50559937)
加藤 侑希 日本大学, 医学部, 助教 (60733649)
池田 俊勝 日本大学, 医学部, 助手 (80510742)
永堀 健太 東海大学, 医学部, 特任講師 (50759561)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 臓器保存システム / メディカルガス / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体外に摘出された移植用臓器の代謝は、外的環境に起因して大きく変化する。臓器代謝は保存状態に大きく影響するにもかかわらず、既存の保存法では温度のみで制御されており、能動的な代謝制御は未だ確立されていない。代表者らは、ガス分子を活用することで摘出臓器の代謝を制御する臓器保存法を独自に開発した。これにより、酸素と一酸化炭素の混合ガスが、保存臓器の好気性代謝を促進すると同時に、Pentose phosphate pathway活性化によりNADPH-GSHを介して酸化ストレスの軽減を誘導することを立証した。また、臓器の保存時間を既存の保存法よりも延長させることに成功している。本研究は、ガス分子による代謝制御を利用した新たな臓器保存システムの構築を目的としている。当初の計画では、最初のStepとして、ガス分子の感作による摘出臓器の代謝産物を解析し、保存状態との関係性を明確にする予定であった。そこで、2023年度は、vivoのモデルであるラット心臓を用いた異所性頸部移植モデルおよび、vitroのモデルであるH9C2細胞を用いた低温、低酸素曝露培養モデルを構築し、サンプルの採取をすることが可能となった。また、質量分析利用(GC/MS/MS)におけるサンプルの前処理方法および測定条件の検証を同時に行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、「ガス分子を作用させた際の、保存臓器の代謝の変化を解析にする」ため、ラット心臓を用いたvivoを用いたモデルにおける代謝測定条件を決定した。さらに、H9c2細胞を用いて、vitroにおける再現モデルの構築に取り組んだ。H9c2細胞における代謝測定条件についても同時に検証を行っている。当初の予定では、条件決定後の測定、解析までを2023年に行う予定であったが、vivoモデルにおける手術手技の確立をするうえで、遅れが生じている。また、vivoモデルでは、CORMの条件を決定するうえでの遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
vivoおよびvitroにおける移植用臓器保存モデル(低酸素および低温暴露モデル)における経時的な代謝変化の測定を行う。さらに、一酸化炭素を用いた臓器保存方法の有効性のメカニズムとして、これまでに指摘されてきた細胞障害因子いがいにFerroptosisに着目し、解析を行っていく予定である。
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