2023 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study on Basic Features of Buddhist Logic
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23KF0038
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
護山 真也 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (60467199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MIAO SHOULE 信州大学, 学術研究院人文科学系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | ダルマキールティ / ダルモーッタラ / プラマーナ / 論理学 / 真理論 / 知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
仏教論理学における推理論の特色を特に西洋哲学との比較を念頭におきながら,解明することを目指す本研究は,外国人特別研究員である繆氏とともに,ダルマキールティの『量決択』「自己のための推理」章とダルモーッタラの注釈の解読研究を行った。『量決択』に関しては,Steinkellnerによるサンスクリット語校訂テキストを対象とし,順次,その内容を討議するという形で進めた。その成果として,繆氏により以下の成果が発表された。 1. 論理学を眼目とするダルマキールティの著作『量決択』第二章冒頭箇所およびそれに対するダルモーッタラの注釈『量決択注』の一部を解読した。これはなぜ推理が自己のための推理と他者のための推理に二分されるかの理由を考察したものである。これに基づく翻訳研究を雑誌『南アジア古典学』に投稿した。 2.『正理一滴論』『量決択』およびその注釈に見られる「目的実現の顕現を有する認識」(arthakriyanirbhasa),「真理論」(pramanya),「証相の認識」(lingadhi)といった概念に対するダルモーッタラおよび彼以降の思想家ドゥルヴェーカミシュラの理解を考察した。後代の注釈者により,『正理一滴論注』の異読情報がどのように取り扱われているか,について新たな知見を提供した。また,推理の前提となる知覚(証相の認識)の真理性がどのように議論されているか,についての考察は,仏教論理学における真理論のなかでまだ不明な点が残される概念であるため,重要なものと思われる。 繆氏は,上記についての考察成果を雑誌投稿と口頭発表といった形で発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のメインとなる『量決択』の解読研究に関して,定期的なミーティングにより,着実に解読をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
『量決択』第二章については,次年度の早い段階で解読を終える予定であり,その後,重要箇所のダルモーッタラ注の解読に集中する。
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Research Products
(7 results)