2023 Fiscal Year Research-status Report
Self-centering hybrid damper for improving life-cycle seismic resilience of building structures
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23KF0046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
聲高 裕治 京都大学, 工学研究科, 教授 (80343234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HU SHULING 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | 制振 / 粘弾性ダンパー / 超弾性合金 / 残留変形 / セルフセンタリング / 構造実験 / 地震応答解析 / ライフサイクルコスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,建築構造物の地震レジリエンスを高めるために,地震時において構造部材だけはなく非構造部材の損傷を軽減しつつ,地震後における残留変形を抑制することができる,新しい自己調心型ハイブリッドダンパーの開発を目指している。このダンパーは,Ni-Tiベースの超弾性合金で形成されたU字形ダンパーと周波数依存性を有する粘弾性ダンパーから成り,地震後の残留変形を抑制するための自己調心機能と非構造部材の損傷を抑制するため速度比例減衰を兼ね備えている。 まず,提案するハイブリッドダンパーの基本的な挙動を確認するために,過去に別々に実施したU字形ダンパーと粘弾性ダンパーの実験結果をもとに有限要素法解析モデルを構築した。U字形ダンパーと粘弾性ダンパーの寄与率を変化させて,振動数や振幅等の影響を,有限要素法解析によって確認した。また,ハイブリッドダンパーを組み込んだ1自由度系の時刻歴応答解析によって,最大変形だけではなく,残留変形も大きく低減できることを明らかにした。 つぎに,提案するハイブリッドダンパーの実現性を確認するために,U字形ダンパーと粘弾性ダンパーを試作し,これらを直列に配置させて動的載荷実験を行った。常温における実験により,想定どおりの履歴挙動が実現できること,残留変形が極めて小さいことを明らかにした。ただし,大変形下において粘弾性ダンパーの損傷により剛性や耐力の低下が起こること,多数回の繰返し変形下においてU字形ダンパーの破断が起こることをそれぞれ確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイブリッドダンパーの動的載荷実験において,温度維持装置の故障により,温度依存性を明らかにすることができていない。この点以外は順調に研究が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3項目について検討を進める予定である。 1.自己調心型ハイブリッドダンパーを有する鋼構造建築物の耐震性能を従来の制振ダンパーを有する建築物と比較し,非構造部材の損傷の程度や残留変形の大きさの差異を総合的に評価する。 2.自己調心型ハイブリッドダンパーを有する鋼構造建築物のライフサイクルコストの算定法を構築し,非構造部材の損傷や残留変形を抑制することで,どの程度のライフサイクルコストの抑制につながるかをケーススタディする。 3.鋼構造建築物のライフサイクルコストを考慮した耐震設計法を機械学習による最適設計で実現する。
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Causes of Carryover |
2024年2月から約2カ月間,研究分担者のHu Shulingが香港に渡航してハイブリッドダンパーの実験に従事した。Huの日本への帰国が2024年度に及んだため,渡航費等の清算が完了していないことによる。
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