2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Study of Medical Ethics Education between China and Japan
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23KF0053
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 弘志 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (90351931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG CHAO 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | 日中比較 / 医療倫理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の中国の医療倫理教育が抱える諸問題は、1.人を育て社会教育を形成する医療倫理教育の二重の欠如、2.医療倫理教育自体の構造的問題に大別できる。前者はさらに、①道徳的知識の習得および道徳的判断力(とくに臨床倫理的判断力)養成の失敗、②社会(医師と患者、医師間、医療社会)を形成する医療倫理教育の教育的機能の欠落、後者は、①カリキュラム上の問題(医療倫理教育は医学専門カリキュラム外の文系科目、医師-患者関係は医療倫理カリキュラムの知識項目という周辺領域かつ医学教育科目と末統合)、②教育を「知的化」する風潮とコンピテンシー重視の教育の軽視、③貧弱な理論コースと形式的な実践コース、④教育の単一アプローチと教学関係のアンバランスさ(座学中心・一方通行)に分けることができる。 そこで本共同研究を開始するにあたり、まず、第30回広島大学応用倫理学プロジェクト研究センター例会(2023.2.18)におけるWang Chao氏の発表“A Comparative Study of Medical Ethics between China and Japan”により、これら問題を共有した。次に、二つのステップを踏んで、中日における医療倫理教育の比較研究を一層深め、提言の策定を目指した。1.マクロな視点:既存のアンケート調査結果を参考に、日本の医学部における医療倫理教育の取り組み(とくにアメリカの医学教育カリキュラムへの摺り寄せ以後)。2.ミクロな視点:サンプリング調査(医学部生へのアンケート、教育者へのインタビュー) しかし、当初計画の変更(Wang Chao氏の本務校の事情による研究期間の短縮、今なお新型コロナウイルスの影響下にある医療機関でのリサーチの差し控え)により、研究成果をとりまとめるには至らなかった。今後は、事情が研究継続を許すのを待って、その成果を論文の形で公表したい。
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