2023 Fiscal Year Research-status Report
液胞は植物膜交通経路のデッドエンドか ー液胞からのタンパク質回収機構の解明ー
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23KF0078
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
上田 貴志 基礎生物学研究所, 細胞動態研究部門, 教授 (10311333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FENG YIHONG 基礎生物学研究所, 細胞動態研究部門, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | SNX / retromer / 液胞 / 逆行輸送 / TGN / 膜交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物に特徴的なオルガネラである液胞の機能を発揮するためには、液胞膜に正しい種類のタンパク質が適切な量局在している必要がある。この膜タンパク質組成の確立と維持には、液胞への順方向の輸送経路と、液胞からの逆方向の輸送経路のバランスが必要であると考えられる。液胞への輸送についてはこれまで盛んに研究されており、多くの知見が蓄積している。一方液胞からの輸送経路については、分子機構はおろかその存在についても謎のまま残されている。そこで、後期エンドソームと液胞膜の融合を実行する膜融合因子VAMP727をモデルカーゴとして用い、液胞からの逆行輸送経路の存在を証明するとともにその分子機構を明らかにすることを目指し研究を進めた。光変換蛍光タンパク質とVAMP727の融合タンパク質を薬剤処理により液胞膜に局在させ、光変換後に薬剤を除去してその挙動を観察することで、VAMP727が液胞膜からエンドソームへとリサイクルされることを証明した。また、この過程に関わる分子の候補として同定したSNXとVAMP727の共局在解析や遺伝学的解析を実施し、SNXがVAMP727の液胞からの回収に必要であることを証明した。さらに、エンドソーム輸送において逆行輸送に関与することが知られているretromer複合体の関与も検証し、VAMP727の逆行輸送にはretromerは関与しないことを明らかにした。一方、トランスゴルジネットワーク(TGN)に局在するタンパク質とretromerの関係を調べたところ、このタンパク質のTGN局在がretromerに依存していることが分かった。これらの結果から、SNXとretromerが植物では独立に機能することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が計画通り順調に進展し、成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
SNXとretromerの超解像イメージングを実施し、両者が機能する場を詳細に明らかにする。また、SNXがVAMP727とどのように相互作用することで液胞膜からの逆行輸送を実行するのかを、生化学的手法や高分解能イメージングにより明らかにする。得られた知見をまとめて原著論文として発表する。
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Causes of Carryover |
日々の実験に使用する試薬やプラツチック機器については、運営費から支弁したものを使用した。また、論文の出版費用を支出することを見込んでいたが、投稿を次年度に持ち越した。次年度には論文出版費用や共同研究先での超解像顕微鏡観察に伴う旅費、顕微鏡使用料等が必要になると見込まれ、試薬や実験器具の購入も必要となるため、それらに支弁する予定である。
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Research Products
(8 results)