2023 Fiscal Year Research-status Report
Developing an electrically-driven organic semiconductor laser with field-effect transistor structure
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23KF0101
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下谷 秀和 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60418613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PERIYASAMY ANGAMUTHU PRAVEEN 東北大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-07-26 – 2025-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 電界効果トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,有機半導体単結晶を活性層とした電界効果トランジスター構造をもとにした電流励起有機半導体レーザーの開発を目標としている.電流励起有機半導体レーザーの活性層に用いる半導体として,比較的高い電荷キャリア易動度と高い発光の量子収率をあわせ持つ,チオフェン-フェニレン・コオリゴマーが期待されている.我々はその中でも,5,5'-bis(4-biphenylyl)-2,2':5',2'-terthiophene (BP3T)に注目して研究を行ってきたが,さらなる電荷輸送特性や発光特性の向上が求められている.外国人特別研究員であるプラビーン・ペリヤサミ・アンガマス氏はBP3Tのチオフェニリル基をフラニル基に置換した新規分子が有機半導体として有望であることを以前の理論研究で明らかにしている.今年度は実際にBP3Tのチオフェニリル基を1個および2個フラニル基に置換した分子の単結晶をアルゴンガスをキャリアとした物理気相輸送法により作製した.さらに,その光学特性,電界効果トランジスタ特性を明らかにした.その結果,それらの有機半導体はBP3Tとは異なる発光波長をもち,BP3Tと匹敵する電荷キャリア易動度,発光の量子収率を示した.また,光励起においてはBP3Tと同様にレーザー発振し,電界効果トランジスタ構造を用いて電子と正孔を同時に注入することにより,電流励起での発光にも成功した.本研究で用いた半導体材料には,さらに高純度化の余地があり,電荷キャリア易動度の上昇が見込まれる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のタイムスケジュールは以下の通りである.第1段階(0~6ヵ月): 必要な化学物質を調達し,有機半導体を合成,単結晶を作製し,構造確認を行う,第2段階(7~12ヵ月): 材料をOFETとして作製し,電気的特性を評価する.第3段階(13~18ヵ月): 光学的および電気的ポンピング分析を実施する.第4段階(19~24ヵ月): プロトタイプを開発し、その成果を論文や特許として発表する.初年度は,第1段階と第2段階を終了し,第3段階の途中まで進行した.当初の計画では第2段階までを初年度に予定していたので,当初の計画以上に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
電界効果トランジスターの発光測定を行い,活性媒体内部でのキャリアの再結合を調べる.レーザーの共振器として,ファブリー・ペロー(FPR)型とDFBの2種類のが考えられる.FPRでは,有機単結晶の平行エッジ自体が反射鏡として機能する.したがって,FPRでは追加のデバイス・エンジニアリングは必要ない.しかし,利得媒体(結晶)の慎重な選択が不可欠である。FPRの唯一の欠点は、反射ミラーが利得媒質の端にあることである.したがって,増幅のためには,光は共振器全長(~500 μm)を移動しなければならない.損失を軽減し,媒質中の利得に到達するためには,より高い励起エネルギーを用いなければならない.この問題は,DFB共振器を使用することで回避することができ,その製作にはフォトリソグラフィか,あらかじめパターン化されたナノDFB構造を使用する.ボトムゲートトップコンタクト電界効果トランジスターを使用する予定であるため,DFB共振器はゲート絶縁膜とOSCの間に作製する.フラン置換BP3T誘導体化合物については、その発光波長に応じたDFBパターンを使用する。共振器を作製したら、電気的ポンピング測定を行う。(1)発光強度対ポンピングエネルギーの対数プロットで見ることができる明確な閾値,(2)ポンピング閾値以上の著しいスペクトルの狭帯域化,できれば検出器の分解能内で回折限界に近づくこと,(3)共振器の作用(フィードバック)の証拠.発光データが上記の条件を満たす場合,電気駆動有機半導体レーザーと呼ぶことができる.
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Causes of Carryover |
実験装置の故障のため,一部次年度に延期しなければならない実験があったため,それに必要な経費を繰り越した.次年度にはその実験が可能になるので,繰り越し分を使用する.
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