2023 Fiscal Year Research-status Report
From Quiver Yangians to Gauge/Bethe Correspondence
Project/Area Number |
23KF0105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 雅人 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (00726599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAO JIAKANG 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-07-26 – 2025-03-31
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Keywords | BPS状態の数え上げ / 箙ゲージ理論 / Jeffrey-Kirwan留数 / 結晶の融解模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bao氏と研究代表者はここまで日常的に議論を行い複数の共同研究が現在進行中であるが、中でも複素4次元のカラビ・ヤウ多様体の場合のBPS状態の数え上げについてすでに結果が得られており、その成果をBao氏と研究代表者、および韓国UNISTの助教であるRak-Kyeong Seong氏との国際共著論文(JHEP 2024, 140 (2024))として発表した。本研究のテーマである超対称箙ゲージ理論におけるBPS状態の数え上げの問題については、研究代表者らによるこれまでの研究は複素3次元のカラビ・ヤウ多様体の場合に限られてきており、より一般の場合に数え上げを実行することは長年の問いである。今回の研究では、特に複素4次元のカラビ・ヤウ多様体の場合に2次元の超対称箙ゲージ理論のBPS指数(楕円種数)をJeffrey-Kirwan留数と呼ばれる数学的な手続きにより評価し、特に楕円種数の被積分関数の極のデータから結晶の融解模型と呼ばれる統計力学の模型が構成できることを示した。これは複素3次元の場合に研究代表者や大栗らが行なった研究の自然な拡張であるが、複素4次元の場合には極のデータだけではなくそれぞれの曲からの寄与(留数)を正確に評価してやる必要があり、その具体的な表式もJeffrey-Kirwan留数から求めることができる。この意味で、今回の導出は複素四次元のカラビ・ヤウ多様体に対するBPS状態の数え上げの問題を解決し、結晶融解模型の期限を明らかにすると同時にその限界も明らかにしたと言える。こうして得られた知見は、今後より一般の超対称箙ゲージ理論を研究していく上での指針となるものではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
超対称箙ゲージ理論のBPS状態の数え上げを具体的に実行するという問題はここ十数年の間もっぱら複素3次元のカラビ・ヤウ多様体において行われてきており、一部の数学者や物理サイドではNekrasov-Piazzalungaの研究などももあるものの、これまでの複素4次元のカラビ・ヤウ多様体の研究はC^4やそのオービフォールドなどの特定の幾何に限定されてきた。今回は完全に一般のトーリック型の複素4次元カラビ・ヤウ多様体についての結果であり、このような結果が得られることは当初計画では全く想定していなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究の結果により、より一般の超対称箙ゲージ理論のBPS状態の数え上げの問題を議論することが可能であると期待され、さらにより一般の数え上げの問題・結晶融解の問題を議論していく予定である。また、単に数え上げを行うのみならず、その背後にある無限次元代数(研究代表者らが提唱した箙ヤンギアンやその親戚)も議論したい。本年度までの研究では、Jeffrey-Kirwan留数のデータからは数え上げの分配関数だけではなくその背後にある代数までも復元することができる可能性が示唆されており、この点をさらに追究することで相当広いクラスの理論について無限次元代数とその表現としての数え上げ問題が一挙に議論できる可能性がある。これは物理学と数学の双方にとってはブレイクスルーとなりうるものである。
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