2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of CP asymmetry using the new neutrino detector SuperFGD in T2K experiment
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23KF0110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 将志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90362441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FERLEWICZ DANIEL 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-07-26 – 2026-03-31
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Keywords | ニュートリノ / CP対称性 / ニュートリノ振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
J-PARC加速器とスーパーカミオカンデ検出器を使った長基線ニュートリノ振動実験T2K実験において、新たなニュートリノ測定装置SuperFGD検出器の試験・設置・立ち上げを進めた。SuperFGD検出器は、1cm角のプラスチックシンチレータキューブを200万個積層し、内部でのニュートリノ反応で生成された荷電粒子によるシンチレーション光を3方向から波長変換ファイバーで導き、約56,000個の半導体検出器MPPCで検出する、画期的な設計のニュートリノ検出器である。ニュートリノ反応事象を1cm間隔に細分化し、その3方向への射影を不感部なく検出することで、ニュートリノ-原子核反応の理解を飛躍的に向上させ、ニュートリノ振動の測定に関わる不定性を削減してCP対称性の破れの探索を世界最高感度で進める。 SuperFGD検出器は2023年夏まで試験運転を行った後、2023年10月に実験ホールに設置した。事前試験・立ち上げ期にはJ-PARC施設に滞在し、現場チームの主要メンバーとしてプロジェクトを推進した。その後データ収集においては運用中に装置の健全性を即時に確認するためのオンラインモニターの開発や検出器の基本的な較正を行った。さらに、データを用いて評価した検出器実機の性能をシミュレーション・再構成ソフトウェアに反映するためのグループを新たに形成して、装置の性能を最大化しデータ解析に進めるための準備を着実に進めている。SuperFGDのデータ解析への応用も考え、機械学習のワークショップにも参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年にSuperFGD検出器を実験ホールに設置し、その前後の動作確認、検出器の較正、運用時のモニター整備など、今後の安定したデータ収集とデータ解析に向けた準備を着実に進めることができた。検出器の基本的な理解から飛跡や事象の再構成へと繋げる開発を行うグループを組織化し、系統的に研究を進める体制を整えた。予定通り、ハードウェア・ソフトウェア両面から今後の本格的なデータ収集に向けて着実に準備を進めることができており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、SuperFGDの本格的なデータ収集を開始する。安定した運用システム、測定器の較正、再構成ソフトウェアの開発、などの整備を進める。ニュートリノ-原子核反応断面積の測定を行い、ニュートリノ振動測定の精度向上につなげる。
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Causes of Carryover |
2023年度はJ-PARC施設での検出器試験と立ち上げに注力し、そのほかの開発や海外出張などの時間が取れなかったため助成金を次年度へと残した。2024年度には国際会議での発表や海外での現地グループとの共同研究や議論を計画しており、助成金を合わせて研究を有効に進める予定である。
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