2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on Heavy Rainfall Mechanism by Mathematical and Data-Driven Approach Using Large Ensemble
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23KF0161
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
川畑 拓矢 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 室長 (80354447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WU PIN-YING 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-09-27 – 2026-03-31
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Keywords | アンサンブル / 摂動ランク / 感度解析 / 確率予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
大アンサンブルの作成における側面境界摂動のランクの影響について調査を行い、改善した大アンサンブル計算を実施した。
摂動のランクの影響を調べるため、令和元年東日本台風を対象とした二組の1000メンバーアンサンブルを比較した。従来の大アンサンブルの作成手法では、1000メンバーに対して合計50の異なる側面境界摂動を使用していた。アンサンブルメンバー数1000に対してランクが不足しており、アンサンブルメンバーの多様性が不十分となり、メンバーのクラスタリングを引き起こしていることが明らかになった。調査の結果、従来の作成手法による大アンサンブルでは、偽の非ガウス確率分布を示した。このようにサンプリング誤差が大きいアンサンブルは感度解析に不適切であるため、ランク不足を改善したアンサンブル計算を行った。すなわち50個の側面境界摂動に正規分布のノイズを導入することで、合計1000の異なる側境界摂動とした。摂動ランクの強化により、メンバーのクラスタリングが解消され、適切な確率予測を実現した。これらの結果をまとめて、米国気象学会論文誌 Monthly Weather Review に"The importance of perturbation rank in ensemble simulations"と題した論文を投稿した。
さらに、令和元年東日本台風の対象としたアンサンブル特異値解析手法を実装した。摂動ランクの改善された1000メンバーアンサンブルを用いて、関東における降水をターゲットに、特異値解析を行った。その結果、台風周辺における循環場の風速と水蒸気量に感度があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大アンサンブルについてシステム改良を行って再計算した。これに対して適用を予定している線形解析法のプログラムも基礎的な開発は完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は従来のアンサンブル特異値解析を時間方向の変化も解析対象とするよう手法を拡張し、大雨発生時刻に影響を与える要因解析を行う予定である。また異なる初期時刻を感度解析の対象にし、これらの結果を比較して、線形の仮説が適切であるかを調べる。さらに、解析対象として、前線による大雨事例を加え、解析法の汎用性を確認する。
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Causes of Carryover |
事例数を増やすため、大アンサンブルのデータ保存用ハードディスクが必要である。
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