2023 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of genome duplication in gonial cells from clonal dojo loach and medaka hybrids
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23KF0181
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤本 貴史 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (10400003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARTA ANATOLIE 北海道大学, 水産科学研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-11-15 – 2025-03-31
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Keywords | クローン / ゲノム倍加 / 非還元配偶子 / 雑種 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は研究期間が短いため生殖細胞培養系の確立とゲノム倍加現象が生殖細胞において生じるニホンメダカとハイナンメダカの交雑を行うことで解析用の雑種メダカの作出を目指して研究を行った。 生殖細胞においてゲノム倍加が生じるクローン系統ドジョウに由来する生殖細胞培養のための条件検討を行った。細胞培養を成功させるために極めて重要なことは、様々な酵素を用いた効果的な生殖腺細胞の解離にある。条件検討を重ねた結果、ドジョウのオスとメス両方の生殖腺細胞の解離に成功した。しかし、分離した生殖腺細胞の純度、量、生存率に対する生殖腺細胞の濃縮の影響を評価するために、密度勾配遠心による分画を試みた。その結果、より純度の高い生殖腺細胞を得ることができたものの、単一の雌性生殖腺からの収量は最適な細胞培養を確立するには不十分であった。また、初代生殖腺細胞の最適培養条件の検討において、血清の添加量、成長因子、細胞分化の阻害剤の添加を試みた。細胞培養は数週間維持されたが増殖率は低かった。生殖細胞培養と並行して、生殖腺解離細胞から再構築したオルガノイド様の細胞塊の作製を試みた。細胞塊は1ヶ月間培養することが可能であった。 メダカ属雑種では野生型のニホンメダカとハイナンメダカの交雑に加え、生殖細胞をEGFPで可視化できる遺伝子組換え系統のニホンメダカと野生型のハイナンメダカの雑種を誘起した。後者は培養下で生殖細胞を可視化できるため、非常に有用なツールとなりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では生殖細胞培養系の確立を第一の目的とし、生殖腺の細胞解離条件を定め、解離細胞のパーコール等を用いた密度勾配遠心による生殖細胞と体細胞を分離し、それぞれを単離する。次に、単離 された生殖細胞を様々な温度、ホルモン添加、培養液組成等の下で培養し、増殖活性が高い細胞培養条件を決定することにあった。しかしながら、令和5年度で行った細胞培養実験では、細胞は培養下で維持できるものの高い増殖活性を付与するには至らなかった。その原因として、生殖腺から生殖細胞培養に供するための生殖幹細胞分離の条件に時間を要したこと、最終的に生殖幹細胞の分離は達成できたものの十分な数の細胞が得られなかったことが挙げられる。培養細胞は数週間維持できたものの増殖率が低かった原因としては、ウェルプレート表面への細胞接着が不十分であった可能性が考えられる。その一方、細胞培養の代替として生殖腺の解離細胞から再構成したオルガノイド様の細胞塊の作製と培養を試み、形成された細胞塊を約1ヶ月間の培養することに成功した。この代替法は生殖細胞がEGFPなどで可視化される遺伝子組換え系統を用いることで、生殖腺体細胞と生殖細胞を含む細胞塊を検出することができる。そのため、観察培養液へのホルモン添加等を行うことにより、生殖腺内部で生じている現象を継時的に観察できる可能性がある。本法を細胞培養法と並行して試みることで初年度の遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究実績から細胞培養系よりも生殖腺の解離細胞から再構成したオルガノイド様の組織塊の培養が生殖幹細胞から配偶子形成までの過程を再現するのに適していると考えられた。そのため、令和6年度にはオルガノイド培養を本格的に開始することを予定していた。また、令和5年度に作出したメダカ属魚類では非還元配偶子形成が生じる交雑種を用いた実験系も予定していた。しかし、令和5年度末に研究員の帰国が決定し、令和6年度は4月10日までの滞在となるため、令和6年度に予定していた研究を遂行するには十分な時間が確保できないため、本研究課題は令和6年4月10日に終了する予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度の配分額についてはほぼ全額を執行したが、試薬を購入するには不足する少額が残額となった。これらについては令和6年度の配分と合算して試験研究に用いる試薬を購入する予定であった。しかし、令和5年度末に研究員の帰国が決定し、令和6年度は4月10日までが滞在期間となり、令和6年度に予定していた研究を遂行するには時間が不足する。そのため、令和5年度に発生した次年度使用額と令和6年度配分額は執行せずに全額を返還する。
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