2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23KF0193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石毛 和弘 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90272020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XIAO DONGYUAN 東京大学, 大学院数理科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-11-15 – 2026-03-31
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Keywords | 進行波解 / 単安定型方程式 / 反応拡散系モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、分担者 Dongyuan Xiao が, 当初の計画通り、農耕の広がり方を記述する3変数反応拡散系モデルについて研究を行った。特に、新石器時代にいくつかの局在した地域で誕生した農耕文明が、数千年かけて世界全体にどのように広がっていったかを数学的に解明するために生態学者のAoki、Shida、 Shigesadaによって提唱された数理モデルを偏微分方程式論として解析を行った。Aoki らはモデルの数値シミュレーションと形式的な計算を手がかりに、モデルに現れるパラメーターの値により、解の挙動は四つのパターンに分類できるという予想を与えているが、分担者 Xiao は、森龍之介氏 (明治大学)との共同研究として、新たな優解と劣解を発見し、方程式を詳しく解析することにより、Aokiらの予想を偏微分方程式論として肯定的に解決しました。さらに、Aokiらの研究において議論されていなかった系の拡散係数が異なる場合についても精密な解析を行いました。 この他、分担者 Dongyuan Xiao は Chang-Hong Wu, Maolin Zhou 両氏との共同研究として、単安定型方程式の速度確定問題を考え、最小進行波解の減衰率を考察することにより、臨界状態に関する特徴づけを与えることに成功した。この結果は、如何に伝播速度が「線形確定」から「非線形確定」に転化するメカニズムを数学的に解釈するか、という数学的問題に対して新しい視点を与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り研究は順調に進展している。また、計画調書作成時では予想しえなかった優れた研究成果や新たな研究の進展もあり、全体として、研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行については順調に推移しているため、研究計画全体に大きな変更はない。関連研究集会に参加、または、開催することによって、関連研究者との研究討論を活発化させる。
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Causes of Carryover |
海外出張や研究集会の開催の際、当初計画していたよりも講演者や訪問先等からの旅費援助があったため差額が生じた。次年度以降は、この利点を活かし、当初の計画よりも積極的に研究集会への参加や開催、研究者の招聘を行っていく。
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