2023 Fiscal Year Research-status Report
Bioengineering of species-specific bacteriocins in pursuit of enhancing their biological activities
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23KF0266
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
善藤 威史 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50380556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DABA GHOSON 九州大学, 農学研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-11-15 – 2026-03-31
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Keywords | 抗菌ペプチド / バクテリオシン / 乳酸菌 / 分泌発現 / ラクトコッシン |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸菌が生産する抗菌ペプチドであるバクテリオシンは、安全な抗菌物質として食品保存料などへの利用が期待されている。その中でもとくに、菌種特異的な作用を有するバクテリオシンは、有用菌や無害菌に影響を与えずに、有害菌のみを特異的に殺菌することができ、無用の耐性菌を生じる機会を低減できると考えられる。本研究では、ラクトコッシンZなどの菌種特異的なバクテリオシンや類似の構造や活性を有する種々のバクテリオシン様ペプチドについて、分泌発現系や抗菌活性評価系を活用して特異性や抗菌活性に重要な部位を特定し、それら重要部位を改変することで、各種有害菌に特異的な抗菌作用を有する抗菌ペプチドの創出を図る。 乳酸菌を宿主として構築したラクトコッシンZ分泌発現系、および変異バクテリオシンの分泌に適した多成分バクテリオシントランスポーター・EnkTを用いた分泌発現系を用い、ラクトコッシンZを出発点とした変異バクテリオシンの創出に向けた基盤構築を図った。大腸菌を宿主としたより効率的な分泌発現系の構築の可能性についても検討を進めた。また、データベースから、ラクトコッシン等の菌種特異的バクテリオシンなどに相同性を有するバクテリオシン様配列の探索を行い、複数の候補配列を取得することができた。さらに、これまでに分離したバクテリオシン生産乳酸菌より、菌種特異的な抗菌スペクトルを示すものを選抜した。そのうちの一つからバクテリオシンを精製し、新奇性の高いバクテリオシンを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラクトコッシンZ分泌発現系やEnkT分泌発現系による異種バクテリオシンの分泌発現の評価が進んでいる。変異バクテリオシンの創出と、その評価による機能部位の特定への準備が概ね順調に進行している。これらをもとに、ラクトコッシンZとEnkTの組み合わせによる、より適用範囲の広い分泌発現系の構築も検討中である。また、データベースや乳酸菌分離株から、新たな構造や特性をもつバクテリオシンの取得状況も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラクトコッシンZ分泌発現系やEnkT分泌発現系を利用し、変異バクテリオシンの取得を図る。とくに、EnkTによるラクトコッシンZ分泌発現系を構築するとともに、必要に応じて乳酸菌以外の宿主を利用することで、さらに多様な変異バクテリオシン取得の可能性を拡大する。得られる変異バクテリオシンについて構造と活性を評価し、抗菌活性の強度や選択性に影響を及ぼす部位や標的細菌上の標的分子を特定し、より菌種特異性の高い抗菌ペプチドの創出を図る。また、データベースや乳酸菌分離株から得られる新奇バクテリオシンについてもその構造や特性を評価し、今後の機能改変の基盤とする。
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Causes of Carryover |
これまでに取得および構築した分離株や発現株、消耗品等を活用することで、効率よく研究を進めることができ、次年度使用額が生じることとなった。今後、翌年度分の助成金と合わせて、新奇抗菌ペプチドの取得や変異株の構築に伴う塩基配列の解析をはじめ、人工遺伝子の合成や各種解析を進める予定としている。また得られた研究成果の発表も適宜行う予定としている。
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