2023 Fiscal Year Research-status Report
TAL型ホールスラスタの電子異常輸送の抑制に向けた数値解析
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23KJ0089
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松倉 真帆 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | ホールスラスタ / 電気推進 / 航空宇宙工学 / プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
アノードレイヤ型のホールスラスタにおける電離振動の原因および改善策に関して、数値解析的なアプローチをするために、本年度は解析コードの開発及び妥当性検証を行った。まずはマグネティックレイヤ型の先行研究で、実験的にも数値解析的にも存在が確認されている加速領域での周方向電場の不安定性の生成を確認した。解析コードに関しては、受入研究室で開発されたBoeufらの提唱した計算モデルに基づいた無衝突 full-PIC 計算と衝突を考慮した計算を行った。磁場に関しては外部印加磁場のみを考慮し時間的な変動に関しては考慮していない。電場はポアソン方程式による電位の時刻更新から時間変化を考慮する。周方向には周期境界条件を用いた。粒子速度の更新はBuneman-Boris法とした。イオン化に関してはイオン化レートを関数的に与えることで導入した。続いてnull-collision法を用いた衝突計算を行った。両者で振動電場、及びイオンと電子の粒子の電離・生成の時間履歴・電位の空間分布・電子数密度の時間履歴を観察し、どちらのコードでも周方向電場の不安定性及びそれによる電子イオン数密度揺動の波状性を確認出来た。 また、アノードレイヤ型ホールスラスタの陽極壁面近傍でのシース領域における、周期的に生じると考えられる電離過程に与える磁場の影響を調査するため、テスト粒子を用いて電子輸送を確認中である。今後は上記で開発した数値解析コードを用いてホールスラスタプラズマの解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アノードレイヤ型ホールスラスタの不安定性挙動性能の改善に向け、概ね研究計画に沿って数値解析研究を進めている。先行研究の再現計算においては、周期方向の電場振動の時間履歴を解析し、初期設定粒子密度と超粒子数との関係を確認していた。研究分野の特性上、超粒子数と格子点数の関係によっての収束性と計算時間がトレードオフになるため、適切な重みづけの検証に想定よりも時間がかかっており、目立った成果の発表につながっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
アノードレイヤ型ホールスラスタの陽極壁面近傍でのシース領域における、周期的に生じると考えられる電離過程に与える磁場の影響を調査する予定である。現在はテスト粒子によって電磁場影響を詳細に調べるため、数eVの電子温度を持った電子群を上部から流入させた円筒形状計算領域に対して、ホールスラスタにおける電磁場モデルを導入して電子軌道の様子を調べている。テスト粒子の解析が終わり次第、ホールプラズマの壁面付近における上記で検証した数値解析コードを用いて、電離振動の原因及び改善策を調査する。 軸方向成分の電子輸送の時間遷移を解析することで,その発生と発展を確認する。続いて、どの領域で電子加熱と電子冷却が生じているのかを確認し。高密度プラズマ領域の発展メカニズムの解明に繋げる。 筑波大学の真空チャンバー及び陽極が周方向に分割された TAL 型ホールスラスタを用いて各陽極への電子電流を計測し,陽極近傍の高密度プラズマ領域の特定を行うことで、解析結果の妥当性の検証を行いたい。
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Causes of Carryover |
次年度分の使用に関して、物品費70万円、及び旅費45万円、その他 5万円として使用する。物品費は主に実験や解析用機材の購入、旅費は関連学会の参加、実験施設への旅費に充てる。その他は施設使用費等として用いる。
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Research Products
(1 results)