2023 Fiscal Year Research-status Report
人口と洪水の変動およびその社会経済的影響の定量評価
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23KJ0119
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳原 駿太 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | 洪水被害 / 人口減少 / 気候変動 / 土地利用変化 / 相互作用 / 将来予測 / 洪水対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本全国を対象として,洪水被害,人口減少,土地利用変化の相互作用を考慮した洪水被害の将来予測を行うことを目的としている.この目的の達成のため,本年度は第一に,既往洪水被害における人口減少に基づき,洪水被害による人口減少の定量化を実施した.洪水が無かった場合の人口データは得られないため,洪水被害による人口減少を直接求めることはできない.そこで本研究は,統計的因果推論の手法を用いて,洪水被害による人口減少を定量化した.市町村スケールの洪水被害による人口減少の定量分析は概ね完了した.この分析により,洪水被害レベルによって洪水被害による人口減少が異なることが示された.本年度は第二に,洪水被害による人口減少が将来の洪水被害に与える影響を評価するため,上記と並行して,洪水被害による人口減少を考慮しない場合の洪水被害の将来予測を行った.加えて,研究計画には含まれていないが,洪水被害による人口減少が洪水対策の効果に与える影響を評価することも重要であると考え,洪水対策の被害軽減効果も評価した.次年度は,本年度において得られた成果を用いて,洪水被害,人口減少,土地利用変化の相互作用を考慮した洪水被害の将来予測と洪水対策の評価を行う予定である.この予測・評価により,洪水被害による人口減少が洪水被害および洪水対策の効果に与える影響が示され,適切な洪水対策を検討するための科学的知見になることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
市町村スケールの洪水被害による人口減少の定量化が概ね完了した.また,洪水被害による人口減少を考慮しない場合の洪水被害の将来予測も完了した.これらの本年度の成果により,次年度において本研究の目的を達成できると見込まれるため,上記のように評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
洪水被害による人口減少を考慮した将来人口の推計を行う.また,この将来人口を用いて,洪水被害の将来予測と洪水対策の評価を実施する.得られた成果を取り纏め,学術誌に投稿する.
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Causes of Carryover |
洪水被害による人口減少の定量分析のためにパソコンの購入を予定していたが,現有のパソコンにより分析が実施可能であったため,購入を見合わせた.次年度において,大量のデータを保存する必要が生じるため,データストレージの購入に使用する予定である.
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