2023 Fiscal Year Annual Research Report
メラノソームの逆行性輸送機構の解明によるグリセリ症候群の病態理解
Project/Area Number |
23KJ0154
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸田 優人 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | メラノソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Rab44の機能に着目することで、メラノソームの微小管逆行性輸送機構の全貌を解明し、将来的なグリセリ(Griscelli)症候群(遺伝性白皮症の一つ)の治療に役立つ基礎的データを得ることを目的とした。Rab44はN末端領域に細胞内のカルシウムセンサーとして機能するEFハンドを有している。そこで、野生型色素細胞(メラノサイト)にRab44もしくはN末端領域を欠損したRab44を発現させ、カルシウムイオノフォアを添加した後のメラノソームの局在を確認したが、どちらの発現条件でもメラノソームの局在の変化(核周囲へのメラノソームの凝集)は観察されなかった。野生型メラノサイトでは、メラノソームの逆行性輸送は優位ではないため、Rab44の発現やカルシウムイオノフォアによる影響を確認することは技術的に困難であった。次に、メラノソームの逆行性輸送が優位となっているメラノサイト(メラノソームが核周囲に凝集している)を用いて、Rab44ノックダウンによるメラノソームの細胞辺縁部への分散に対する影響を検討した。siRNA耐性Rab44を再発現させ、カルシウムイオノフォアを添加すると、より強くメラノソームを核周囲に凝集させることが確認された。一方、siRNA耐性N末端領域欠損Rab44を再発現させた場合は、カルシウムイオノフォアの添加有無に関わらず、メラノソームは細胞辺縁部に分散したままであった。したがって、Rab44のN末端領域はメラノソームの逆行性輸送の制御に重要であり、かつ当該領域に含まれるEFハンドによって細胞内カルシウムイオンに反応して逆行性輸送が調節されうることが示唆された。実際に、Rab44がメラノソームのカーゴレセプターとして機能し、細胞内カルシウムイオンに応答して逆行性輸送因子等をより強くリクルートしてくるのかどうかは、今後、免疫沈降実験等で検証する必要がある。
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