2023 Fiscal Year Research-status Report
水分屈性初期応答に必須なMIZ1の細胞内動態変化制御を司るタンパク質の同定と機能
Project/Area Number |
23KJ0228
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
秋田 幸太郎 山形大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 水分屈性 / 水分勾配刺激 / 環境応答 / MIZ1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、水分屈性制御に必須なMIZ1タンパク質の細胞内局在変化の機構を解明することである。そのために、MIZ1と相互作用して局在変化に機能するタンパク質をTurboID法により同定することと、局在変化を駆動する細胞骨格の同定を目指し研究を実施した。本年度は、水分屈性におけるMIZ1の機能部位である皮層細胞特異的なプロモーター、pCORの下流で、TurboID-YFPとMIZ1、水分屈性を示さない変異型のmiz1-1、miz1-5、MIZ1のターミネーターを融合した、pCOR: TurboID-YFP-MIZ1, -miz1-1, -miz1-5, -MIZ1terのコンストラクトを作成した。それらをMIZ1無発現変異体へ形質転換し形質転換体を得た。導入遺伝子がホモの系統を選抜し、それらの水分屈性表現型を評価した。すると、TurboID-YFP-MIZ1では程度に差はあったが水分屈性を示す系統の取得に成功した。一方、TurboID-YFP-miz1-1, -miz1-5, -MIZ1ter系統では、水分屈性を示す系統は得られなかった。 アクチン繊維がMIZ1の細胞内動態変化の制御に機能するのかを明らかにする目的で、薬剤処理や遺伝学的にアクチン重合を阻害したところ、水分屈性が低下することを見出した。アクチン繊維とMIZ1が部分的に共局在すること、アクチン重合の阻害によりMIZ1と小胞体の共局在の程度が減少することを見出した。これらのことから、小胞体でのMIZ1機能が水分屈性発現に重要なことが示唆された。 シロイヌナズナの水分屈性発現におけるオーキシンの役割を生理学的に解析した。その結果、オーキシンは、MIZ1の下流で直接的に水分屈性を減衰させることで、根の成長方向を調節する役割を持つことを明らかにした。この成果をPhysiologia Plantarum誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シロイヌナズナの水分屈性発現において相反する報告がなされていたオーキシンの役割を明らかにすることができた。また、アクチン繊維がMIZ1の上流で機能し、MIZ1の小胞体への局在や小胞体膜上での機能に影響を与えることが示唆できた。MIZ1相互作用タンパク質候補の同定に用いるTurboID系統の整備も順調に進んでいる。これまでに作出されていなかった蛍光タンパク質融合のmiz1-1, miz1-5の作出に成功したことで、MIZ1の機能解明に迫ることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
系統整備が終わり次第、研究計画に基づきTurboID法によるMIZ1相互作用タンパク質候補の同定を行い、MIZ1の細胞内動態変化を司るタンパク質を明らかにしていく。
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