2023 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス・首都ビエンチャンの男性同性愛者のネットワーク形成に関する都市人類学的研究
Project/Area Number |
23KJ0317
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大村 優介 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | ラオス / 都市 / 性的少数者 / エスノグラフィ / 個人 |
Outline of Annual Research Achievements |
受給期間中、それまでの調査で得られたデータの整理・分析、文化人類学や東南アジア地域研究の文献研究を通した先行研究の検討を進め、さらにラオスでの短期の追加調査を行うことができた。 まず、研究代表者が受給期間以前にラオスの首都ビエンチャンで行った文化人類学的フィールドワークで得られた記録を整理し、分析を行った。その中で特に、調査中に出会った男性同性愛者のライフストーリーに着目し、親族との関係、首都の都市空間での生活、故郷や隣国タイのバンコクなど他の都市との間での移動の来歴、上座部仏教の信仰との関連などの複数の側面から分析することで、ラオス都市部におけるマイノリティ的生の可能性について考察し、その成果を日本文化人類学会第57回研究大会、MAPS第1回若手研究者集会などで発表した。 また、調査中に研究対象者の会話の中で用いられていた「カトゥーイ」という、ラオス語・タイ語で用いられているカテゴリーについて、地域研究・セクシュアリティ研究の先行研究の検討、調査データの再分析を基に東南アジア学会第105回研究大会でポスター発表を行うとともに、他の東南アジア研究・東アジア研究者とともに刊行予定の英語論文集(書名・刊行日未定)への執筆を行った。これらの研究発表・論文執筆を今後博士論文執筆の土台とする予定である。 さらに、2023年8月~9月にはラオスの首都ビエンチャンで短期の追加調査を行った。以前の調査で知り合った研究対象者へのインタビューを行い、特に前回調査後も進行している物価高が調査対象者の生活に大きな影響を与えていることが確認された。 また、所属研究機関(東京大学)のアジア研究図書館に所蔵されているラオス関連資料について、ラオス研究者の立場から記事執筆を行い、今後の資料拡充に向けた提言を行った。
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[Book] 東南アジアで学ぶ文化人類学2024
Author(s)
箕曲在弘,西川慧,大村優介,中村昇平,山口裕子,二文字屋脩,下條尚志,高野さやか,津村文彦,寺内大左,吉田ゆか子,岩佐光広,岡野英之,久保忠行,細田尚美,岩原紘伊
Total Pages
320
Publisher
昭和堂
ISBN
9784812223062