2023 Fiscal Year Research-status Report
Clarifying Pathophysiology of Atrial Fibrillation by Tissue Multi-Omics Analysis of Atrial Myocardium
Project/Area Number |
23KJ0378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沢見 康輔 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | 心房細動 / マルチオミックス解析 / eQTL |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、心房細動患者の心房心筋組織における細胞種ごとの遺伝子発現パターンを見出すこと、心房細動患者の細胞種特異的eQTL(expression quantitative traits loci; 遺伝子発現量と関連するゲノム領域)を探索すること、これらに各細胞種のエピゲノム情報を合わせることで、遺伝子発現の調節機構を解明し心房細動におけるVariant To Function studyの一翼を担うことを目的としている。 2023年度には心房の心内膜下心筋生検を用いてsingle nucleus RNA-sequencing(snRNA-seq)・bulk RNA-sequencing(bulk RNA-seq)を実施した。13人分の心房心筋検体から10873核を抽出しsnRNA-seqを行い、心房細動患者の心房に存在する細胞種ごとの遺伝子情報を取得することができた。さらに、数理的に推定したbulk RNA-seqの結果に含まれる細胞種の割合をモデルに組み込み、同一集団から取得しているゲノムDNAの遺伝的多型のデータとbulk RNA-seqのデータを線形回帰分析することによって、遺伝的多型が心房のどのような種類の細胞で、どの遺伝子発現に影響を与えているかという細胞特異的eQTLを解析した。230人分のbulk RNA-seq情報と、理化学研究所の協力により取得した全ゲノム解析の情報を線形回帰分析し、さらに細胞種割合の交互作用を考慮したモデルを構築することにより、細胞種特異的に作用している可能性がある11遺伝子・850の遺伝的多型を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に従い、データ取得および解析を進行している。さらに2023年度には心房細動患者230人分の心房生検組織のsnRNA-seq・bulk RNA-seqを追加することができた。2024年度に予定している解析で使用するsingle nucleus ATAC-sequencing (snATAC-seq)のデータ(16人分・12024核)は2023年度に取得済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は2023年度の結果をsingle nucleus ATAC-sequencing (snATAC-seq)の情報と統合することによって細胞種特異性の再検討や転写因子の予測、さらに心房細動GWASの結果と統合することで疾患との関連性を推定することを予定している。2023年度に追加することができた心房細動患者230人分の心房生検組織のsnRNA-seqを用いて、特に細胞種特異的eQTL解析において、single nucleus eQTL解析を行うことも予定している。
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Causes of Carryover |
2023年度の計画よりも学術集会への参加件数が少なかったため、主に学会旅費の項目において次年度使用額が生じた。2024年度には引き続き学会旅費として使用するとともに、データ解析で必要とされるハードディスクドライブ等の物品費の補填として使用することも予定している。
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