2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism by which clonal hematopoiesis with ASXL1 mutation exacerbates cardiovascular disease.
Project/Area Number |
23KJ0405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
進藤 彰人 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | クローン性造血 / CHIP / 心不全 / HFpEF / 腹部大動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスにAsxl1遺伝子改変マウスから採取した骨髄を移植し、造血細胞でのみAsxl1遺伝子変異を有するクローン性造血モデルマウス(Asxl1-CH)を作成した。Asxl1-CHに対し心房細動、腹部大動脈瘤、駆出率の保たれた心不全(HFpEF)を誘発する負荷をそれぞれ与えることで、Asxl1遺伝子変異によるクローン性造血が3疾患に与える影響を解析した。Ctrl群には野生型マウスの骨髄を移植したマウスを用いた。 アンジオテンシンⅡ負荷による心房細動モデルでは、2週間薬剤を投与し左房線維化の変化を観察したが、Ctrl群との差は観察できなかった。腹部大動脈瘤モデルでは、アポリポ蛋白E(ApoE)欠損マウスに骨髄移植を行い、アンジオテンシンⅡを4週間負荷した。Ctrl群と比較して、2週間、4週間時点でそれぞれ腹部大動脈径が拡大することを確認した。HFpEFモデルでは、高脂肪食+L-NAME投与を8週間行ったところ、Asxl1-CHで心重量が増加し、心エコーで評価した左室収縮能および左室拡張能の低下を確認した。 腹部大動脈瘤モデルについて、大動脈組織中の免疫細胞をフローサイトメトリーで評価したところ、マクロファージの総数がAsxl1-CH群で著明に増加していることが判明した。HFpEFモデルでは、少数例での検討ではあるが、マクロファージの総数には変化を認めなかったが、いくつかの表面抗原で分類するとマクロファージのポピュレーションはCtrl群と異なっている可能性が示唆された。 いずれの病態にもマクロファージが影響を与えている可能性が考えられたため、骨髄由来マクロファージ(BMDM)をin vitroで培養し、インフラマソームを活性化するLPSおよびNigericinによる負荷を与えたところ、Asxl1遺伝子改変マウス由来のBMDMでIl1bの遺伝子発現が有意に増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心房細動モデルでは予想通りの結果とはならなかったが、腹部大動脈瘤モデル、HFpEFモデルでは造血細胞でのAsxl1遺伝子変異が病態を悪化させることを確認できた。その機序にインフラマソームを中心とした炎症の経路が関連していることを各種実験で確認している状況であり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
造血細胞でのAsxl1遺伝子変異が腹部大動脈瘤、HFpEFを増悪させる機序として、組織マクロファージでのインフラマソームの活性化が予想されることから、BMDMを用いて検証すると共に、インフラマソームを活性化させる機序について検討を進める。治療標的を見つけられれば、BMDMに該当遺伝子のノックダウンを行ったり、該当分子を阻害する薬剤をマウスに投与することで表現系の改善が得られるかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
想定よりも早く表現型の変化を確認できたことから物品費としての未使用額が生じた。未使用額は次年度の物品購入(マウスに投与する薬剤、ポンプなど)に用いる。
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